━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々木俊尚の未来地図レポート 2026.6.15 Vol.913
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.pressa.jp/
【今週のコンテンツ】
特集1
軍事作戦のボタンを最終的に押すのもAIに代替されるか
〜〜人間社会とAIが融合していく未来を考える(10)
特集2
なぜアウトドア遊びが盛りあがっているのかという考察
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 特集1
軍事作戦のボタンを最終的に押すのもAIに代替されるか
〜〜人間社会とAIが融合していく未来を考える(10)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ウクライナ戦争とイラン戦争という2020年代の大規模な国家間戦争は、軍事のありようを根底から変えつつあります。前回も解説したように、ドローンとAIの戦争に大きくパラダイムシフトしてきているのです。
ウクライナ戦争ではウクライナ・ロシア両軍ともにドローンを大量参戦させていますが、現状の戦況を見るとウクライナのドローンがロシアを圧倒しているように見えます。
★頭上から「黒い油の雨」が…プーチン、ウクライナドローンになす術なしの深刻事態 「ロシアが誇った『陸の架け橋』、いまや『地獄のハイウェイ』に」(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/0047eba9b9c9b6173d6ed87aaeb40b350bfcd143
上記の記事では、 ウクライナがドローン戦闘でロシアの優位に立っている理由をこう説明しています。
「ウクライナが現場の試行錯誤から生まれる分散型のイノベーションで戦っているのに対し、ロシアは国家主導の中央集権的な大量生産に依存している。少数のモデルを大量に作ることには長けていても、戦場の刻々と変わる状況に追従する速さで、ウクライナに後れを取っているのだ」
かつて超大国だったロシアと、軍事的には弱小だったウクライナが互角に戦い、しかもドローンによってロシアを凌駕しつつある。この驚くべき展開は、アメリカ・イスラエルとイランの戦争にも見事に当てはまっています。
米イ軍はイランとの開戦当初、後述しますがAIによる精密な解析を駆使して政権幹部の居場所を特定。ミサイルなどの攻撃によって最高指導者ハメネイ師などを殺害する斬首作戦を見事な手際で断交しました。イランの海軍や空軍基地も破壊され、戦争はすぐに終了するかと思われました。
しかしイランはこれだけの破壊を受けながらも、見事に持ちこたえたどころか、ミサイルとドローンで猛烈な反撃に出ます。イランのドローン「シャヘド」はロシアに輸出され、ロシアにリバースエンジニアリング(分解・解析)されて類似型のドローンが大量に戦線に投入されています。
シャヘド1機の製造コストは数百万円とされ、数億円もする迎撃ミサイルで迎え撃つのはあまりに効率が悪くコストに見合わない。イランはこの低価格ドローンを大量に中東の米軍基地や周辺産油国の石油基地、港湾などに浴びせかけ、大きな被害をもたらしました。「貧乏人の兵器」を、世界で最も豊かな物量とテクノロジーを誇る米軍が防御しきれなかったのです。
★「米国版シャヘド」中東に配備 米軍、イラン製の安価な自爆ドローンを模倣
https://forbesjapan.com/articles/detail/87111
米軍は昨年から、このイランのシャヘドをリバースエンジニアリングして模倣し、ルーカスという低価格ドローンを製造しはじめています。世界最先端だった米軍の軍事が、イランの兵器を模倣するなんて過去にはほとんど見られなかった事態でした。高価で巨大な兵器ではなく、安価で小さい兵器を大量に運用する方がアドバンテージを持つ、という反転が起きたのです。
★ウクライナ、巧みな「ドローン外交」で世界の強国へとのし上がる | Forbes JAPAN 公式サイト