━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々木俊尚の未来地図レポート 2026.6.1 Vol.911
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.pressa.jp/
【今週のコンテンツ】
特集1
ドローンとAIの軍事革命がいままさに進行している
〜〜人間社会とAIが融合していく未来を考える(9)
特集2
読者の方々からのいろんな質問に答えてみるシリーズ
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 特集1
ドローンとAIの軍事革命がいままさに進行している
〜〜人間社会とAIが融合していく未来を考える(9)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
AIとドローンという先端テクノロジーが、軍事の世界に大きな影響を与えつつあるようです。
★「ロシアに押し戻す!」ウクライナの戦略転換に動揺するプーチン、パニックに陥っている兆候も…戦況の変化もプーチンが強硬姿勢を強める理由
https://buff.ly/Tiu01mT
この記事では米フォリンポリシー誌の解説が紹介されています。「占領地奪還のための消耗戦からロシア領内への戦略打撃によって経戦能力を削ぐことに重点をシフトさせる、ウクライナの戦略が今春から奏功し始め、これに対しロシアは明らかに動揺して、戦争目的に関する説明振りなどを変え始めている」
2022年に始まったウクライナ戦争は、ロシアが占領したウクライナ東部のドンバス地方の奪還をめぐるものでした。兵士が何十万人死傷しようとも気にしないプーチンは、大量の兵員と武器を戦線に投入し、ウクライナはじりじりと押されて領土を失いつつあったのです。しかし昨年春、ウクライナのゼレンスキー大統領は戦略を転換。ドンバスの占領地奪還ではなく、国境をはるかに超えてロシア国内の奥にまで長距離ミサイルとドローンによる攻撃を実施し、ロシアの継戦能力を奪うという方法に出たのです。
「これは、ロシア占領地奪還のための膨大な犠牲を伴う攻勢作戦に代えて、ロシア経済の弱体化、軍事生産の麻痺、市民の士気低下を目的とする長距離・非対称戦を採用したことを意味する。今春、この戦略が実を結び始め、激戦の戦況をも変える兆候が見え始めている」
このウクライナの戦略を奏功させているのが、軍事ドローンの技術革新が一気に進んできていることでしょう。ドローンはそもそも金額が極度に安い。一基数億円の巡航ミサイルや、数百億円の戦闘機に比べ、軍事ドローンはせいぜい数百万円。百万円を切るという話もあります。予算の面で圧倒的にメリットが大きく、国家予算の乏しい国にも導入が可能です。
これは米・イスラエルと戦っているイランにも当てはまります。イラン戦争は当初、米・イスラエル軍が空爆を行って最高指導者のハメネイ師ら政府幹部を軒並み殺害し、さらに空軍・海軍基地などにも壊滅的な打撃を与えましたが、これでイランは降伏しませんでした。それどころか、大量のドローンを出撃させてペルシャ湾岸の米軍基地や石油基地、港湾施設などを攻撃。戦争は膠着状態に陥ってしまっています。
これは先日「アベマプライム」に出演された地理学者の内藤正典先生にうかがって「なるほど」と納得した話なのですが、ペルシャ湾岸の地形図を見ると、ペルシャ湾のイラン側にはザグロス山脈という巨大な山地があり、最高峰のザルド山は標高が4548メートルもあります。真っ白な冠雪をかかえた高い山並みと、複雑に入り組んだ裾野の地形。ドローンを飛ばす車両を隠すには恰好の土地です。
いっぽうでペルシャ湾の南側、サウジアラビアやUAE、カタールなどは広大な平地です。イランの山脈の高台から、低い平地にドローンやミサイルを発射する。「だからイランからすれば攻撃は簡単なんですよ。逆に平地から山に向かって迎撃するのはとても難しい」と内藤先生はおっしゃっていました。たしかに。
そしてイランは、軍事ドローンの先進国でもあります。以下はそれを説明したロイターのインフォグラフィック記事です。
★安価なドローンが塗り替える空の戦争
https://buff.ly/XMEdXmI