ゴールデンウィークが終わると、インターネットには「5月病」関連の記事が一斉に咲き乱れる。「正式な病名ではありません」「適応障害の一種です」「生活リズムを整えましょう」――内容はほぼ判で押したように同じだ。間違いではない。しかし、この毎年恒例の情報氾濫には、功罪の両面がある。精神科医の立場から、あえてその構造を問い直してみたい。
まず事実の確認から入ろう。5月に精神科外来の受診者数は本当に増えるのか。実は、この問いに明確に答えるエビデンスは乏しい。国内保険請求データを用いた大規模研究(Okumura et al., Journal of Epidemiology, 2019)によれば、日本の精神科入院件数には季節変動が見られ、ピークは夏(7月)であった。しかし、これは入院の話であって、外来中心となった現代の精神科医療を説明するには時代遅れだ。
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