[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.750]「兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれて」しまった日本/これが「成長戦略」の一環だと? 冗談もほど ほどにしてほしい

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.750 2026.4.27                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1363》 「兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれて」しまっ た日本/これが「成長戦略」の一環だと? 冗談もほど ほどにしてほしい 【2】《CONFAB No.715》 閑中忙話(4月19日~25日) 【3】《FLASH No.619》 高市首相の「台湾有事」発言のどこがどう間違っていた のかを再論する/『月刊タイムス』5月号の高野稿 「『存立危機事態』の定義と本音」より一部を増補・転 載 ■■INSIDER No.1363 26/04/27 ■■■■■■■■■■ 「兵器の輸出をして金をかせぐほど落ちぶれて」しまっ た日本/これが「成長戦略」の一環だと? 冗談もほど ほどにしてほしい ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  高市早苗政権が誕生して4月21日でちょうど半年が過 ぎた。その記念にしようとした訳でもないだろうが、こ の日、高市内閣は「防衛装備移転3原則」とその「運用 指針」を改正し、これまで「救難、輸送、警戒、監視、 掃海」に限って武器輸出を認めるとしてきた「5類型」 の制限を撤廃する閣議決定を行なった。裏返せば、殺傷 性兵器、つまりは直接に人殺しのために用いられるミサ イルであろうとそれを搭載する護衛艦・潜水艦であろう と、何でもかんでも輸出できるようにし、日本を「兵器 輸出国」にすることで防衛産業を成長戦略の主軸の1つ にする方向に転換したということである。 ●「国家の品格」を捨てて「落ちぶれる」のか  朝日川柳だったか「落ちぶれて武器ありますの暖簾だ し」という一句があったが、その通りで、武器なんぞを 売って商売にするのは国として品格を失って「落ちぶれ る」ことだというのが、戦後日本の正常な道徳感覚なの だ。  3月17日の参院予算委員会では、公明党の西田実仁議 員が50年前の宮澤喜一外相(当時)の「兵器の輸出をし て金を稼ぐほど落ちぶれてはいない。もう少し高い理想 を持った国として今後も続けていくべきだ」という答弁 を引用しつつ「平和よりも一時的な経済利益を貪欲に追 求する国であってよいのか」と質したのに対し、高市 は、こう答えた。 ▼今は、日本を取り巻く情勢が非常に厳しいものになっ ている。我が国一国だけではなく、同志国を含めもう時 代が変わったと感じる。 ▼経済成長にもつなげる。国民生活の豊かさにもつなげ る。そして国をしっかりと守る、そういう時代に入って いる。  これは問題山積みの発言で、まず第1に、「日本を取 り巻く情勢が非常に厳しいものになっている」というの は本当か? 冷戦時代に旧ソ連軍の北海道への着上陸侵 攻という可能性が皆無とは言えなかった頃と比べると、 「今の日本を取り巻く情勢」は遥かに緩和されていて、 ロシアはもちろんのこと北朝鮮も中国も、日本に対して 大規模な渡洋・上陸・占領作戦を敢行して日本支配を試 みるようなシナリオを持っていないと判断される。こう いう決まり文句を繰り返して印象操作をするのでなく、 何時と比べてどこのどういう脅威がどのくらい増してい て、それに対処するには本当に一国では間に合わないよ うなことになっているのか、正しいインテリジェンスを 国民に提供しなければならない。

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