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§ ぶんぶくちゃいな § vol.563 § 李嘉誠とパナマ運河、あるいは世界とドナルド・トランプ §

§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ § 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな § vol.563 § 2026年3月7日発行 § 今週のトピック:李嘉誠とパナマ運河、あるいは世界とドナルド・トランプ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 米国とイスラエルによるイランへの攻撃は、それを仕掛けたトランプ大統領の予想を裏切って長期化すると見られている。彼らは自分たちの国力を持ってすれば、その「目的」は簡単に達するだろうと思っているのだろうが、ガザ侵攻に続くこの攻撃によって、中東とその周辺地区の混乱はそう簡単には彼らが当初弾いたそろばん通りに落ち着くはずがない。 実はこの攻撃は、本来なら「また、トランプ大統領が馬鹿なことをしやがって」とうそぶいていられたはずの中国すらも慌てさせている。 その最大の理由はまず、トランプ大統領が「やりたい放題」だと現実がもう一つ明らかになったこと。もちろん、昨年1月に政権第2期が始まったときから、それに気づいていないわけはなかった。しかし、関税や外交政策など行政上の手段はともかく、そう簡単に武力に訴えるとは多くの人たちは考えていなかった。いや、それは信じたくない現実だった。 だが、彼はそれをやった。 彼は自分の意図に沿わない他国に対して、軍をも使って政府トップを拘束(ベネズエラ・マドゥロ大統領)したり、殺害(イラン・ハメネイ師)したりすることを辞さないという姿勢を見せたのだ。となると、トランプ政権下の米国に徹底的な対抗姿勢を取り続ける中国にとって、のんびりと対岸の火事を決め込むわけにはいかなくなった。文字通りの「対岸」に立てば「標的」にされてしまう、てことなのだから。 もちろん、その不安を自ら認めることは中国にとって沽券にかかわる事態であるから、そんなことは一言も漏らさない。実際、中国はその可能性を事前に予想していたと思われる。 というのも、昨年4月に東南アジアを歴訪して以来、習近平の外遊がストップしている。特に注目されたのが、7月にブラジルで行われたBRICS首脳会議、そして11月のヨハネスブルグG20首脳会議の欠席で、どちらも李強・首相が代理出席した。前者は同年5月にブラジル大統領が訪中したためとの理由で、また後者はその理由は明らかにされておらず、その不透明感に習近平の健康不安説も飛び出した(が、その後の当人にはその兆候は見られない)。 ほとんど語られていないのだが、それはトランプの「魔の手」から逃れるためだったのではないか、と筆者は考えている。特にブラジルは、アメリカから目と鼻の先にある。習が乗った飛行機が米軍に取り囲まれるなどという事態も起きかねない。当時は、そう思った筆者ですら「考えすぎだろ」と思っていたが、今振り返ると、「用心に用心を重ねた」結果だったといえるだろう。もちろん、中国にとってそんなことは口が裂けても公言することはできないが。 その一方で、今や中国メディアの海外ニュースはイランを巡るニュースで持ちきりである。 その理由の一つは、イランは長らく中国が中東で最も親しく付き合ってきた国の一つであること、つまり一般中国人にとって日頃は体制に与しようがしまいが、「伊朗」(イラン)という国名は、日本人がそれを耳にするよりも耳慣れた響きを持つからだ。 中国を慌てさせている理由の2つ目が、当然ながら、そのイランとの往来、経済関係による影響である。特に米国の経済制裁を受けていたイランの石油は、中国にとっては大事な輸入供給源だった。これがイラン攻撃によって大きな打撃を受けることは想像に難くない。中国メディアはあまりその「来源」について触れることはしない一方で、イランの海岸線に沿う形で伸びている石油輸送のネック、ホルムズ海峡が閉鎖状態になることによる「原油危機」について毎日のように大きく報じている。 そして3つ目は、中国が米国に背中を向ける形で進めてきた「一帯一路構想」への影響である。当初、「海と陸の新シルクロード」と言われたヨーロッパへと続くこの経済ベルト構想では、中央アジアから中東へのルートが中核的な位置づけにある。そこで最も親しいイランが混乱に陥ることで、構想推進が頓挫することはなくても大きな停滞に直面するはずだ。 同時に、この一帯一路の推進は自国内企業に協力も呼びかけられてきた。手っ取り早く言えば、一帯一路沿線国への中国企業の進出である。特にコロナ後、顕著な経済停滞と消費不振のさなかにある中国で、企業にとって「出て行く」ことが打開策の一つになっている。政府が奨励したり、進出を支援してくれたりする沿線国ならば、とそれに乗る企業も少なくない。イラン情勢の悪化はこうした企業にとっても大打撃となり、士気が下がるおそれもある。そうなれば、回り回って中国国内政治への影響も甚大となる。 特に、エネルギー不足に悩む中国にとって、ホルムズ海峡封鎖はかなりの痛手であるのは間違いない。 そう考えると、トランプ大統領は、それが目的ではなかったにしろ、間接的に彼自身がパナマ運河に対して懸念していた現実をホルムズ海峡封鎖によって中国に突きつけたことになる。 彼は、昨年1月の大統領就任式で、「米国が開墾したパナマ運河が、中国企業によって運営されている。もし中国政府がその気になれば、そこを閉鎖してアメリカの船を通れなくできる。それは許されないことだ」と宣言し、「必要によっては武力による奪還も辞さない」と明らかにした。その当時の動きについてはすでに本メルマガでも、528号(2025年3月8日配信)と530号(同4月5日配信)の2回に分けてご紹介した。 しかし、あれから約1年。本来ならとっくに終わっていたはずの買収交渉は今や、硬直状態に陥っている。当時の詳しい内容については前述の2回分をご覧いただくとして、ここでその「その後」についてご報告しておきたい。 ●30年続く「違憲」?

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