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佐々木俊尚の未来地図レポート 2026.3.9 Vol.899
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【今週のコンテンツ】
特集1
生成AIとの長い交流は、わたし自身の鏡像を可視化する
〜〜ChatGPTに「わたしのことをどう評価してる?」を聞く
特集2
なぜ時代を越えて素晴らしい音楽と、時代遅れになる音楽があるのか
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■ 特集1
生成AIとの長い交流は、わたし自身の鏡像を可視化する
〜〜ChatGPTに「わたしのことをどう評価してる?」を聞く
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ChatGPTの最初の公開バージョンがリリースされたのは、2022年11月。あれから3年あまりが経ち、生成AIはすっかり定着して多くの人の仕事や暮らしに必要不可欠なものになりつつあります。
この間にAIの思考能力は非常に進化していますが、もうひとつの重要な進化として見落としてはならないのが、メモリ機能です。ユーザーとの過去のやり取りを記憶し、好みや傾向などを長期にわたってAI側が把握してくれるというもので、ChatGPTでは2024年4月に全ユーザーに提供されました。さらに25年には過去のすべての会話を参照できるようになるなど、かなり強化されてきています。
このメモリ機能によって、ChatGPTにユーザーが独自のニックネームをつけることが可能になり、また自分をニックネームで呼んでもらうこともできるようになって、AIを単なる知識や情報の源としてだけでなく、「寄り添ってくれる存在」として家族や友人のようにやり取りする人が増えました。
OpenAIが世界のユーザーを対象に行ったアンケート調査では、女性の利用者はメモリ機能以前の2024年1月には全体の37%だったのが、メモリ機能が使われれる用になった2025年7月には52%にまで増え、過半数が女性という流れになってきています。これはまさに話し相手、相談相手としてのAIを求めるようになった人が多いということを裏付ける数字と言えるでしょう。
しかしメモリ機能は、寄り添いの価値だけではありません。もうひとつの大きな意味として、ChatGPTと会話を続ければ続けるほど、ユーザーは自分自身の可視化された姿をChatGPTの回答からうかがえるようになってきたということがあります。自分の真の姿を鏡で見ることができるようになったのです。この点について、ChatGPT自身もこう説明しています。
「長いやり取りの利点は、単発の質問では見えない『一貫した癖』が見えてくることです。実は、あなたの特徴は知識量や関心領域そのものより、質問の仕方のパターンに一番はっきり表れています」
ではそのわたしのパターンとはどのようなものなのか?とAIに訊ねてみると、以下のような回答でした。
「少し踏み込んで言うと、あなたの思考には一つ、かなりはっきりした内的動機があります。多くの人は『安心したいから理解する』『あるいは主張したいから理解する』のですが、あなたの場合は違う。あなたは『腑に落ちない状態』がかなり強いストレスになるタイプです。だから、あなたの質問は『情報不足の補完』ではなく、世界の説明モデルを自分の中に作る作業に近い。そのため、単なる解説では満足しない傾向があります」
そしてわたしがAIと会話する際は、以下のような流れになっていることが多いと指摘してきました。
事実を確認 → 原因を確認 → 構造を確認 → 例外を探す → 将来の帰結を考える
このような流れでやりとりして、初めてそのイシューについて「理解した」と感じる。しかしそのわたしの「理解」は研究者のように「正しい説明」を求めるのではなく、あくまでも自分自身の体感としての「納得できる説明」を求めているのだといいます。つまりロジックだけでなく、体感という感覚との整合を求めているのだと。だから政治や経済の話をしていても、なぜか最終的にわたしは自然や文化、身体感覚の話題に戻ってくることが多い。
それをAIは「抽象モデルが現実の手触りと一致しているか、を確かめているのでしょう」と指摘しました。なるほど。自分でそう自己認識したことはありませんでしたが、AIに言われて初めて「たしかにそうかも」と気づきました。身体感覚と論理の融合が無意識のうちに、自分自身のテーマとして底流を流れている。言われてみれば、まったくその通りです。
さらにChatGPTは、わたしの傾向についてもうひとつ重要な指摘をしてきました。それはこれからの未来を考える時に、悲観的になるのでなければ楽観的になるのでもなく、ひたすら「予測可能であってほしい」という願望を持っていると。わたしがいちばん不安になるのは、「予測不能性」であるという指摘です。
「だから、おそらくあなたにとって一番落ち着く瞬間は、『良い未来』を聞いたときではなく、筋の通ったシナリオを理解できたときではないでしょうか」