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§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな § vol.558 § 2026年1月17日発行 §
今週のトピック:中国文物残酷物語:消えた美術品コレクション
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かつて北京に暮らしていた時、故宮博物院(以下、「故宮」)で働いているという米国人と知り合いになった。
外国人が故宮で働いているといっても、別に案内ガイドではない。その人が勤めていたのは米国の財団で、当時その財団は故宮の文物の保存や修復のための資金や技術を提供しているという点だった。
もちろん、一般の中国人はほとんどそんなことは知らなかったはずだ。それから数年後、中国のインターネットである著名人が「故宮でスターバックス(以下、『スタバ』)が営業しているのは文化侵略だ!」などとぶち上げ、それに同調する人たちがスタバを大批判、撤退を余儀なくされるという事件が起きた。
この著名人の訴えは単純だった。故宮は中国の伝統文化の象徴であり、「米国の街角カフェチェーンでしかない」スタバとは釣り合うものではなく、米国ビジネスによる「文化的侵略」だという。このもの言いは、中国人庶民にとって、さらに当時は大半の庶民がまだコーヒーを飲む習慣がなかったこともあり、直接的に「異文化による侵略」というイメージに繋がった。
だが、そこから直截的に「スタバは出て行け」という声が巻き起こった時、都会を中心にそれなりに疑問も上がった。
まず、スタバは勝手に故宮の門をこじ開けて入居したわけではない。営業を許可した、故宮の管理者の説明をまず聞くべきではないのか?
次に、少なくともスタバは故宮内外の店舗で同じ価格で同じ味のコーヒーを提供している。観光客が落ち着いて一息つける場所としての存在してもいいのではないか?
そして、コーヒーと故宮の風景がなぜ対立することになるのか?
それまでにも故宮には中国茶とお菓子を提供する小店があった。だが、正直、それは完全なる観光客騙しのような店で、お茶もお菓子も決して上物ではないだけではなく、「故宮プレミア価格」だった。故宮の壁で囲い込んだ観光客からお金を巻き上げるだけのぼったくり店としか言いようがなく、当時の中国のしょぼい観光客ビジネスの典型だった。
果然、スタバが撤退した後に故宮を訪れた筆者は、スタバの店舗があった場所に「百年伝統」という看板を掲げたコーヒーショップができているのを目にした。なんのことはない、スタバが去って二束三文の低品質の「コーヒーまがい」を出す店になっていた。もちろん、お値段は「呼吸プレミア価格」である。
だが、著名人氏はスタバの撤退を我が功績として喧伝氏はしたものの、その後のコーヒーショップ展開には全く関心を示さず、結局多くの人たちがその顛末を知らないままとなっている。
筆者はその後、故宮を訪れていないので、故宮ビジネスが庶民の消費生活の向上に伴っていかに変化したのかはよく知らない。だが、筆者にとってこの出来事は、「巨大な」中国の現実には一言で言い尽くせないようなロジックのギャップが、ゴロゴロ転がっているのだという一例として記憶されている。
そう、中国の現実は、一筋縄ではいかない「事実」がたくさん隠れているのだ。
昨年12月にちょっとした騒ぎを引き起こした、南京博物院の収蔵品転売事件も、調べてみると、まさにこうした隠れた事実がたくさん見つかった。
●「落ちぶれた」寄贈後継者
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