田村耕太郎のFUTURE ASIA PREMIUM
【第1号】2026年1月11日
■ Executive Summary
今号で一番伝えたい結論
今年の世界情勢はすさまじいスピードで移り変わりする。世界にインパクトを与えるイベントが頻繁に起こる
世界各国が地政学リスクに対して身構えるので意外と世界は平和である。(安定のパラドクス)
世界経済はアメリカ経済の恩恵を受けて好調。アメリカは重要な選挙の年なので中央銀行総裁交代で金融も財政も現政権が選挙のためにアクセル吹かせるので好調。
素早くて振れの大きい変化を受け止められる体力のある企業や個人が恩恵を受ける
実力や資産の裏付けがない人は変化が激しいので転職や起業を試みるのは要注意
国際関係や国政政治の研究者ではこれからの世界情勢は予測できない
今年の重要政治日程
1~2月 高市首相による解散総選挙? 地政学リスクの高まりが追い風となり、高市政権が盤石となる。日本にとっては、米国の保護下から卒業し、グローバルサウスと対等に渡り合いながら、不安定な権威主義国家を「管理」するという、極めて難易度の高い外交力が試されることになろう。
3月上旬中国:全人代(全国人民代表大会) 経済再建策と「自立自強」路線の進捗、習近平指導部の次期人事の予兆を注視。
5月米国:パウエルFRB議長の任期満了 2026年前半最大の注目点。トランプ政権(2期目)による後任指名が、世界の金融秩序に激震を与える可能性。ドル信認の変化やインフレ再燃のリスクを抱えつつ、米国の株価と経済を強引に牽引する「トランプ・マネー」の時代が始まる。
6月14-16日G7サミット(フランス・エヴィアン) 「民主主義陣営の結束」を再確認できるか。アメリカによるボイコットもありうる。トランプ氏は国際会議を、多国間協調の場ではなく「自国の要求を突きつける場」として利用する。
6-7月 北米:FIFAワールドカップ 米国・カナダ・メキシコの共催。ソフトパワーの祭典だが、トランプ政権が「貿易不均衡」を理由にメキシコやカナダへ圧力を強める中、華やかな祭典の裏で激しい経済交渉が展開されるだろう。
9月20日ロシア:国家院(下院)選挙 プーチン政権の盤石さを誇示する場。選挙結果そのものよりも、その前後に起きる「動員令」や「増税」に対する国民の反応が、プーチン体制の寿命を占う指標となる。
10月4日ブラジル総選挙 南米最大の経済国で、左派ルラ路線か右派回帰かが問われ、資源ナショナリズムの行方を左右。ルラ路線が否定され右派に回帰すれば、南米全体が「資源ナショナリズム(自国資源の囲い込み)」を強化し、エネルギー価格の変動要因となる。
10月12-18日IMF・世界銀行年次総会(タイ) グローバルサウスの債務問題と、ドル支配に対する「多極化」の動きが加速するか。
11月3日米国:中間選挙 トランプ政権(2期目)の中間評価。世界情勢にとっても最重要イベント。共和党が勝利(トリプルレッド継続)すれば、トランプ流の「力による現状変更」はさらに加速し、もはや誰にも止められなくなる。
民主党が下院を奪還すれば、予算権を握る議会が大統領と激突し、米国の対外政策は「機能不全(失速)」に陥る。
11月9-20日COP31(トルコ・アンタルヤ) 気候変動対策の停滞(「グリーン・バックラッシュ」)と気候災害多発化に対し、アメリカ不在?の中、途上国と先進国がどう折り合いをつけるか。途上国が求める資金援助の停滞から、地球規模の環境対策が「空白期」に入る危険がある。
11月10日 ASEAN首脳会議(フィリピン・マニラ)「ASEANのGDP合計が日本を上回る(2026年予測)」という象徴的な逆転が起きる。これにより、日本にとって彼らは「支援対象」ではなく、対等あるいは「頭を下げるべき市場・資源国」へと変わる。南シナ海問題で米国の助けを期待しすぎず、AIやデジタル技術で独自の経済圏を作ろうとする動きが強まる可能性がある。
11月中APEC首脳会議(中国・深セン) 中国がホスト国として、アジア太平洋における米国の影響力に対抗し、中国主導の秩序をアピールできるか。アメリカ中間選挙の結果によりこれも大きな影響を受ける
12月中G20サミット(米国・マイアミ) 米国開催。トランプ氏は自身のゴルフリゾートでの開催を強行し、議題をエネルギー輸出や規制緩和に絞ろうとしている。中ロとの関係次第では「首脳会合自体を開催しない」可能性すら示唆している。中間選挙の審判を受けてトランプ流「自国第一主義」と主要国がどう妥協点を見出すかが焦点。
世界を振り回すのはトランプ氏。理由は中間選挙。
彼は予測可能な予測不能さ(Predictable Unpredictability)を持っている。
結論から言えば、ドナルド・トランプ氏は、「予測しやすさと予測不能さを、戦略的に使い分けている人物」。
その「読みやすさ」と「読めなさ」を整理する。
1. 実は「予測しやすい」側面(行動の原理原則)
トランプ氏の根底にある行動原理は一貫しており、驚くほどシンプルだ。
「損得」のディール(取引):
全ての外交や政治を「勝ちか負けか」「得か損か」のディールとして捉える。このビジネスマン的な視点に立てば、彼の要求は常に「アメリカ(自分の選挙)が有利になる条件」である。
支持層への忠誠:
彼は自分の支持者(ベース)が喜ぶかどうかを最優先する。選挙公約への執着心は他の政治家より強く、数十年前から一貫している。グリーンランド併合も2017年から主張している。
称賛と攻撃のパターン:
自分を褒める相手には友好的で、批判する相手には即座に猛攻撃を仕掛けるという反応は、心理学的にも極めて予測しやすいパターンだ。
2. あえて「予測不能」を装う戦略(狂人理論)
一方で、彼が「何をするかわからない」と感じさせるのは、それが交渉における強力な武器になるからだ。
「狂人理論(Madman Theory)」:
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