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佐々木俊尚の未来地図レポート 2026.1.12 Vol.891
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【今週のコンテンツ】
特集1
ワークライフインテグレーションとしてのシチュー料理
〜〜日本の家庭料理は美食から普通の食へと回帰する(6)
特集2
わたしが濫読してるさまざまなKindle本を紹介
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■ 特集1
ワークライフインテグレーションとしてのシチュー料理
〜〜日本の家庭料理は美食から普通の食へと回帰する(6)
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読者の皆さま、新年おめでとうございます。本メルマガは2008年夏の発行開始から、18年目を迎えました。毎週月曜日の発行をこれまで一度も休んだことがなく、自分の持続力を褒めてやりたいところではあります。今後も長く続けていきますので、ご愛顧をお願いいたします。
さて、年初の一発目でもあり、今回は料理の話をしながら一連の「家庭料理の変遷」シリーズをまとめたいと思います。
わたしは新型コロナ禍で外出できなくなっていたころ、自宅でさかんにシチューなどの煮込み料理をつくっていました。最もよく食卓に出したのは、アイリッシュシチュー。とてもシンプルな料理です。必要な食材は、豚(好みで牛や羊でも)のブロック肉。バラだと油が強すぎるので、ロースかモモなどがいいでしょう。ロースは高価なので、わたしはモモ肉をよく使います。長時間煮れば、硬いモモ肉もほろほろに柔らかくなるのです。ただし煮込むと肉は縮んで小さくなるので、できあがりをイメージしたのよりも少し大きめのものを買うのがお勧め。
肉のほかには、タマネギとジャガイモ。調味料は塩。用意するのはたったこれだけ。シンプルの極みです。
まずタマネギをざくざくと包丁で切り、ブロック肉も幼子のげんこつぐらいにカットします。ジャガイモは皮を剥いて、食べやすい大きさにしておく。深鍋にタマネギと肉を放り込み、水をたっぷりと入れて火にかけます。最初から塩を足しますが、塩辛くなりすぎないように若干薄めにしておくのが良いでしょう。塩味が足りなかったら、後で足せばいいのです。
火にかけて、グツグツと沸騰してきたらアクをとり、アクが出なくなったらトロ火にします。蓋のすき間を少し開けて蒸気が逃げられるようにして、そのまま数時間火のついたまま放置。放置しているあいだに、机の前に戻って仕事を続けるのです。ただし火の元だけは気をつけて、ときどき見に行くこと。
2時間ぐらい煮たら、鍋の中の具材の様子を観察しましょう。タマネギは原形をとどめないぐらいにトロトロになり、肉も箸でほぐれそうなぐらいに柔らかくなっていたら、オーケーです。続いてジャガイモを加えます。ジャガイモに竹串を刺してスッと通るぐらいに柔らかくなったら完成。最後に塩味を調整するといいでしょう。
深皿に汁ごと盛って、ひと匙すすってみましょう。味つけは塩だけなのに、驚くほどの滋味が口中に染みわたっていきます。塩の分量を過剰にしなければ、誰が作っても決して失敗しません。おまけにトロ火で放置しておくだけで手間もかからないので、自宅リモートワークで楽しむ料理にはぴったりなのでした。仕事のあいまにときどき鍋の様子を見に行って、味見をして「よしよし」とうなずく。そういうプロセスを楽しめる料理です。
わたしが新型コロナ禍でもうひとつよくつくったのは、ビーフシチューです。
用意するのは、牛肉のブロックとトマト水煮缶。野菜は、セロリ、ニンジン、タマネギ、ピーマン、パセリなど香りの強い野菜を各種お好みで。調味料は塩と赤ワイン、それに味噌を入れるのがコツです。コクがしっかり強まるのです。
まず野菜をすべてざく切りにし、トマトの水煮缶と一緒に大きめのボウルに入れます。まずこれを電動ハンドブレンダーで潰してしまいます。きれいに潰さなくても、多少野菜のかたちが残っているぐらいでも大丈夫。完璧を目指さないスタイルでじゅうぶんです。
深鍋に油を敷いて熱し、カットした牛ブロック肉を炒めます。じゅうぶんに焼き目がついたら、ここに先ほどのボウルの潰した野菜を注ぎこみます。沸騰してきたらアクをとり、赤ワインをボトル3分の1ぐらいと味噌をひとすくいぐらい加えてトロ火で煮ます。味噌が隠し味になっていい仕事をしてくれるのです。このまま1時間ぐらい、火にかけたまま放置。ときどき鍋の中を見に行って、煮込んで水分が減りドロリとしてきたらだいたいできあがり。塩で味を調整して完成。