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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 310
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、フィルターバブルについてご紹介します。
フィルターバブルというのは、SNSなどでレコメンドアルゴリズムが精密になりすぎて、その人が好みそうな情報ばかりがリコメンドされる状態を指します。これにより、その人は偏った意見ばかりを目にすることになり、極端思想の人が増え、さまざまな国で分断を生む要因になっています。
日本でも、SNSをのぞくと、両極端の思想ばかりが目立つようになり、あやふやな根拠で誰かを叩くということが起こるようになっています。
このような情報の単一化は、ビジネス上も大きな問題となります。同じような情報ばかりがリコメンドされることになり、利用者に飽きがきてしまうからです。実際、抖音の1日あたりの平均利用時間は、2023年には1日126分だったものが、2025年3月の調査では93分にまで減少しました。利用時間が半分になれば、SNS運営の収益も半分になってしまうわけですから大問題です。
このような課題に対応するため、ショートムービー「快手」では、2021年から次世代レコメンドアルゴリズム「EMER」を開発し、テストを経て、2023年7月に実装されました。
これは、再生数といいねの数を中心にコンテンツを評価するという方法から、さまざまな満足度代理指標を総合的に評価するという方式への転換です。さらに画像解析技術、音声解析、大規模言語モデルを活用し、コンテンツの社会的な品質も評価し、問題のあるコンテンツを排除し、なおかつ多様なレコメンドができるようにしようとするものです。
このEMERアルゴリズムは、他のSNSでも同様の考え方が採用され、中国のSNSではフィルターバブルのようなことが起こりづらくなりつつあります。
今回は、このEMERアルゴリズムとはどのような考え方のもので、どうやって迷惑コンテンツを排除しているのか、その仕組みについてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 310
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▼目次▼
フィルターバブルを乗り越えることはできるのか。中国SNSが採用し始めた次世代リコメンドアルゴリズム
小米物語その228
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Q&Aコーナー
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フィルターバブルを乗り越えることはできるのか。
中国SNSが採用し始めた次世代リコメンドアルゴリズム
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今回は、フィルターバブルと次世代利コメンドアルゴリズムについてご紹介します。
SNS疲れを感じている方は多いのではないでしょうか。
ひとつは、送られたメッセージに返事をすることが義務となり、それに追われて疲れてしまうというものです。最近では、退社後の業務メッセージは応答しなくてもいい「つながらない権利」も議論されるようになっています。
もうひとつは、SNSでは年がら年中、生贄を探して叩いているようなことが続いています。事実かどうかわからないあやふやなことを、あたかも事実であるかのように、度を超えた批判が展開されます。このようなことに嫌気が差し、SNSから距離を置くという方もいるでしょう。
特に問題だと感じられるのが、このような特定の考えを積極的に拡散しようとする人の多くが、対話をする余地もないと感じさせることです。特定の考え方に深入りをしている人には、どのような話をしても、自分の考えを再考するという様子がありません。批判をすると、次第に声量が大きくなり、威圧を感じさせる行動を取るようになります。
このような、特定の考え方に凝り固まってしまったり、幼稚な陰謀論を信じこんでしまう現象は、SNSのフィルターバブル効果が原因だと言われることがあります。また、同様の言葉でエコーチェンバー効果、インフォメーションコクーン(情報の繭)という言葉も使われます。
チェンバーにしろコクーンにしろバブルにしろ、そういうものをつくっているのはSNSなのだという考え方です。これはほんとうにそうでしょうか。
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