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「聖地学講座」
vol.322
2025年11月20日号
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◆今回の内容
○根の国のルーツと海洋民の心
・黄泉の国と根の国
・オオナムチの試練再考
・根の国とニライカナイ
・日本神話における「まれびと=来訪神」
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根の国のルーツと海洋民の心
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前回は、「夢見」の聖地という話から、夢が異界と接触して現実を更新するための一種の擬死再生の役割を果たしていたこと、そして、オオナムチが「根の国」における試練を経てこの世に戻って「オオクニヌシ(大国主)として生まれ変わるイニシエーションの物語も、夢による擬死再生と同じ構造の中にあるというところまで辿りました。
今回は、このオオナムチの生まれ変わりのイニシエーションが「黄泉の国」ではなく「根の国」を舞台としていたことの意味について、さらに「根の国」の本質とそのルーツまで掘り下げてみたいと思います。
●黄泉の国と根の国●
日本神話における異界の表現は「黄泉の国」と「根の国(もしくは根の堅洲国)」が代表的ですが、この二者はしばしば混同されます。『日本書紀』の第四段では、イザナギが亡きイザナミを生き返らせようと訪ねた場所を「黄泉の国」と記し、第五段では、スサノオが母神のイザナミが恋しくて「根の国」に行きたいと泣いているという記述があり、これが混同の大きな要因の一つになっています。
ところが、前回も指摘したように、イザナミが堕ちた黄泉の国が、腐臭にまみれた陰惨な死の国であるのに対して、オオナムチがイニシエーションを受けた根の国は、同じ地下世界とされながら、オオナムチを助けるスセリビメがいる希望に結びつく世界でした。
それは、腐敗したイザナミに恐怖したイザナギが逃げ戻る途中の黄泉平坂で、互いに呪いを掛け合うのに対して、スサノオから逃れたオオナムチとスセリビメが、同じ黄泉平坂でスサノオから励ましの言葉をもらうという点でも明確に対比されます。
では、黄泉の国と根の国は具体的にどう異なるのか、分析的に考えてみましょう。
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