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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 305
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、レアアースについてご紹介します。
米中間で新たな火種が顕在化しました。レアアースです。今回は、1年の延期ということで落ち着きましたが、中国はこれからもレアアースの輸出規制のカードをことあるごとに使い、米国は半導体と関税で対抗するということが繰り返されると考えられます。
レアアースは磁石や触媒などになくてはならない材料です。大量には必要ありませんが、ないと高品質の製品をつくることはできないことから「製品のビタミン」などと呼ばれることもあります。
特に永久磁石はモーターをつくるのに必須の部品であり、再エネと電化が進む中で非常に重要になってきています。
このレアアースは世界の2/3を中国が生産をし、独占している状態です。それゆえ、中国は政治カードとして使えるのです。
しかし、なぜ中国が独占できているのでしょうか。他国でレアアースを採掘したり、生産したりすることはできないのでしょうか。
今回は中国がレアアースをなぜ独占できるのかについてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 305
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▼目次▼
中国が独占するレアアースできる理由。中国独占を崩すのに必要なこととは
小米物語その223
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中国が独占するレアアースできる理由。
中国独占を崩すのに必要なこととは
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今回は、中国が独占するレアアースについてご紹介します。
中国が唐突にレアアースの輸出規制を発表し、米トランプ大統領が報復関税100%で対抗するなど、再び関税戦争が始まるのかと思われましたが、結局、中国側はレアアース輸出規制を1年延期、米側は報復関税をキャンセルというところに落ち着きました。
しかし、このレアアース規制は、いつか行われるのではないかと前々から予想されていたことです。米国は半導体製造技術(特許などの知財)という他国が持っていないものを持っています。一方、中国はレアアースという他国が持っていないものを持っています。これは強い武器となり、米国は2019年にファーウェイなど数社をエンティティリストに入れ、このリストにある企業とその企業に製品を納入する企業には米国の半導体製造技術を使わせない(厳密には許可制)という措置に出ました。
これにより、ファーウェイはスマートフォンの心臓部であるSoC(システムオンチップ、CPU、GPU、センサーなどがパッケージ化された半導体チップ)「Kirin」が製造できなくなりました。
当時のKirinは、アップルのAシリーズと最先端を競い合っていたSoCです。この他、サムスンのExynosも優れていましたが、歩留まりが悪く限られたハイエンドモデルに搭載されるのみでした。また、クアルコムはSoCを製造して提供するビジネスであることから、超最先端はねらわず、追従する戦略をとっていました。
つまり、本当のハイエンドSoCはアップルのAシリーズだけになってしまったのです。これでiPhoneは世界最強のハイエンドスマホとなりました。中国市場でもファーウェイが消えたため、その空間をアップルが埋め、iPhoneがトップシェアを握る局面が増えました。
ファーウェイは小さくない打撃を受け、一時はスマホ事業から撤退をするのではないかとすら見られていました。しかし、ファーウェイは復活をしました。米国の技術を使わずに、中国の技術だけで、アップルからは2世代か3世代遅れになりますがKirinを再び製造し、Mate 60 Proでカムバックしたのです。このあたりの経緯は、「vol.195:ファーウェイがカムバック。影響を最も受ける米国企業、中国企業はどこなのか」(
https://tamakino.hatenablog.com/entry/2023/09/24/080000)でご紹介しています。
つまり、米国はチップ封鎖をすることにより、中国の技術進化を促してしまったのです。このチップ封鎖策には米国内からも当初から批判は多くありました。例えば、マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏は「問題があるということだけ伝えておくべきだ」と発言しています。そして、台湾有事など、米国が絶対に許すことができない事態が起きた時にチップ封鎖を発動すべきだと主張しています。つまり、カードとして持っておいて、それを切るタイミングを考えるべきだという考え方です。
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