━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 302
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、京東のフードデリバリー参入についてご紹介します。
EC大手でアリババのライバルである京東がフードデリバリーに参入をしました。フードデリバリーの市場は「美団」「ウーラマ」があり、さらに小規模ながら中国版TikTok「抖音」も参入しています。つまり、完全なレッドオーシャンになっています。そこに京東はあえて参入をしました。
京東は全国で注文したものを当日/翌日配送するというECですが、地域倉庫と地域配送をうまく組み合わせることで実現しています。日本でもヨドバシ.comが地域倉庫と店頭在庫をうまく組み合わせて短時間の配達を実現していますが、考え方はよく似ています。
しかし、問題は受取人が不在ということがしばしばあり、再配達が生じることが大きな課題になっています。冷蔵庫やエアコンなどの設置作業のあるものは、時間を予約し、通常の配達とは別の仕組みで配達をしますが、小家電や衣類などの配達では再配達が大きな負担になっています。
そこで、京東はフードデリバリーの短時間配送の仕組みに注目をしました。フードデリバリーを行い、ネットワークを維持しておき、そこに時間指定配達を載せることで時間指定配達が可能になり、再配達、宅配ロッカー、コンビニ受け取りなどが必要なくなります。
京東のねらいはここにあります。今回は、物流を「長距離」「中距離」「短距離」の3つに分類し、その視点でECやデリバリーを整理します。京東はなぜフードデリバリーに進出したのか。その背後にある戦略をご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 302
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼目次▼
EC大手の京東がフードデリバリーに参入。その背後にある物流戦略
小米物語その220
バックナンバーPodcast
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
EC大手の京東がフードデリバリーに参入。
その背後にある物流戦略
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は、EC大手の京東がデリバリー参入した背景の戦略についてご紹介します。
中国ではしばしば「焼銭大戦」が起こります。新しいサービスが大量のクーポンを配布してシェアを取りに行くというもので、際限のないクーポン合戦になることがあります。
最も激しかったのは2014年の滴滴(ディディ)と快的(クワイディー)によるタクシー配車アプリ大戦です。米国のウーバーがライドシェアというビジネスモデルで中国に上陸することを表明したのがきっかけとなりました。中国の滴滴と快的はまだ規模が小さく、ウーバーには対抗するのが難しいため、早く相手を打ち負かして市場を独占し、ライドシェア事業に乗り出す必要がありました。
このため、滴滴がクーポンを配布すると、翌日には対抗して快的が配布するなどエスカレートしていき、一時期はタクシーが無料で乗れるようなところまでいきました。最終的に滴滴と快的が合併をすることでこの大戦は終結しました。
2017年に起きたofo(オッフォ)とMobike(モバイク)の焼銭大戦では、過剰な数のシェアリング自転車が街中に投入され、歩道が自転車で埋めつくされ、まともに歩けないというところまでいきました。これはofoの破綻により終結しました。
そして、今年2025年2月に、突如としてEC大手の京東(ジンドン)がフードデリバリーに参入し、焼銭大戦を仕掛けていきました。デリバリー業界は、美団(メイトワン、黄色)とウーラマ(青)の他に、中国版TikTok「抖音」(ドウイン、黒)も独自のデリバリーネットワークの構築を始めています。完全にレッドオーシャンの市場だと見られていました。そこに京東(赤)が参入したのです。
京東の創業者、劉強東(リュウ・チャンドン)氏は、自らライダーとなって電動自転車で配達をしました。劉強東氏がすごいのは、プロモーション用に写真を撮っておしまいではなく、1日だけですが、本気で配達業務をやったことです。そして、1日に97件を届けるという普通の人はできない記録を打ち立てました。これで、ライダーチームの士気が高まりました。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)