2025年 第36号
【長尾和宏の痛くない死に方】
長尾和宏です。普段の年から比べたら、まだまだオソロシイくらいの酷暑です。僕が子供の頃は、9月を過ぎて30度を超えることなんて、ほとんどなかったと思う。ましてや35度近くとは、殺人的…だからか、天気予報で30度予想が出ると、あ、今日は涼しいかなと思ってしまう自分もオソロシイ。それくらい、本当にこの2か月の暑さといったら、尋常じゃなかったよね。だからなのか、ここにきて体調を崩す人をやたらと目にします。
夏バテから風邪を引いて、咳が止まらない人も多くいる。でも、そういう人がちょっと不安になって、病院に行くと、「コロナ? インフルエンザ?」と二択で診断名を出されることがまた、オソロシイ。
「大丈夫大丈夫。夏バテで体温調整ができなくなっているんだね、コロナの検査もインフルの検査もしなくていいよ。家でゆっくり寝なさい」
そう言ってくれる町医者が増えれば、コロナ感染者もインフル感染者も急増しなくて、メディアが大騒ぎする必要はないのにねえ。
まだまだ暑いけれど、町のあちこちでは秋祭りが行われている。神輿を担ぐ子供たちの声が嬉しい。コロナは流行っているらしいが、コロナ禍には見られなかった風景だから。でも、いつもの夏祭りより、心なしかじいさんの数が少ない気がする? なんで? と尋ねると、「暑すぎて危険なので、高齢者たちは祭りには出ないで、集会所で昼から酒を呑んでいるのだ」という。なるほど……秋祭りなのに、じいさんたちは外に出られない。なんともいえない、暑すぎる異様な秋のはじまりだ。そんななか、明日(9月15日)は、どうやら「敬老の日」らしい・・・。
敬老の日2025に寄せて
―― 長生き時代、楽しんだものが勝ち!? ――
〇敬老の日のはじまり
9月の第3月曜日は「敬老の日」です。今年は明日、9月15日。
敬老の日の発祥は、1947年、戦後すぐのことでした。発祥地は、我が兵庫県の、多可町というところ。当初は、「としよりの日」という名前で始まりました。
「年寄りを大切にし、知恵を借りよう」――その思いが当時全国に広がって、周囲の自治体も賛同するようになったことから、1966年(昭和41年)に9月15日は、国民の祝日へと昇進しました。当時の男性の平均寿命はなんと、68.35歳。
厚生労働省の最新データ(2024年)によれば、平均寿命は
• 男性:82.7歳
• 女性:88.3歳
世界でも有数の長寿国です。
その一方で「健康寿命」(元気に日常生活を送れる年齢)は
• 男性:72.7歳
• 女性:75.4歳
つまり 寿命と健康寿命の差は、男性で約10年、女性で約13年もあります。長生きできても、その終盤は病気や介護が必要になるケースが多いのです。
だから、僕もそうだけど、まだ70歳に手が届いていないのに、「敬老の日おめでとう」といわれると、ちょっと複雑な気分…。内閣府の調査では、「自分を高齢者と感じる年齢」は70代後半からで、60代、70代前半では「まだ若い」と思う方が多数です。
だけどまあ、もしも僕に「敬老の日、おめでとう」という日がいれば、素直に「ありがとう」と受け取られるくらいは、オトナになりたいな(笑)
とはいえ、70歳近くになって、僕は昔より少しだけ、「幸福だな」という気持ちがわかるようになってきた。
〇幸福感は高齢になるほど増える?
不思議なことに、調査によると幸福度は50代で少し落ち込みますが、60代以降に再び上昇します。これを心理学では「社会的選択理論」と呼ぶそうです。
つまり、年齢を重ねると、自分の人生に期限があることを少しずつ悟るため、「自分にとって、本当に大事なことかどうか」を見極める力にたけ、自分にとって本当に大事なことに集中するようになり、ささやかな喜びを強く感じられるようになる、といいます。
また、脳科学的にも、高齢になるとネガティブよりポジティブを記憶しやすくなる「ポジティビティ効果」が高まるとされます。これらのことから、高齢者は若い頃と比べ、幸せを感じやすい脳になっていく のです。
〇幸福を感じやすい人の特徴とは?
研究では、こんな人が幸福感を持ちやすいことが分かっています。
• 社会とのつながりがある人
• 役割を持っている人(ボランティア、趣味、孫のお世話など)
• 経済的に安心感がある人
• 体を動かす習慣がある人
• 感謝の気持ちを持てる人
ここに共通するのは「人」「健康」そして・・・感謝の気持ちです。また、お金や地位よりも、身近な関係や日々の習慣が幸せを支えていることも実感していきます。
では、どうすれば高齢から幸福を感じられるようになるのでしょうか?
1. できることに目を向ける
2. 小さなイベントを楽しむ
3. 健康を“貯金”する(運動・睡眠・食事)
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