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聖地学講座第318回「地下宇宙の思想 ―洞天福地と龍脈・水脈―」

聖地学講座
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 「聖地学講座」                 vol.318 2025年9月18日号 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆今回の内容 ○地下宇宙の思想 ―洞天福地と龍脈・水脈― ・地下や壷の中にある広大な宇宙 ・洞天福地と日本の地下世界ネットワーク ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 地下宇宙の思想 ―洞天福地と龍脈・水脈― ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  人間は古来、自分たちが住む地上世界とともに天上と地下にも特別な世界、つまり「異界」があると信じてきました。この講座でも、そうした「異界」を生み出した人間の心理や、異界の種類、異界とのつながりについて取り上げてきましたが、今回は、そんな異界でも、地下世界について焦点を当ててみたいと思います。  地下世界というとキリスト教や仏教の地獄や、日本神話のイザナミや「ギルガメシュ叙事詩」に描かれる冥界落ちのような暗い死者の世界が想像されますが、今回取り上げるのは、地下世界にも天上界と同様の理想郷があるという考え方です。  それは、道教における「洞天福地(どうてんふくち)」という思想で、深い洞窟の中に広大な宇宙が広がっていて、そこは仙人たちの暮らす理想郷だというものです。桃源郷や壺中天といったイメージも、この洞天福地という思想のバリエーションといえます。  洞天福地そのものが聖地であることはいうまでもありませんが、地上におけるその入り口も聖地となっていると考えられてきました。中国の水墨画では、そうした洞天福地への入口とされる場所の風景が好んで描かれました。また、この思想は、日本にもたらされて、もとの話をアレンジした「浦島太郎」や「竹取物語」などの説話物語が生み出されました。 ●地下や壷の中にある広大な宇宙●  洞天福地という観念は東晋時代(4世紀頃)に現れ、唐代(7~9世紀)に体系化されました。その構造は階層的になっていて、「十大洞天」「三十六小洞天」「七十二福地」で構成されます。この「十」「三十六」「七十二」という数字は、道教の重要な概念を表しています。  「十」は、完全数・全体性を示すもので、東西南北と中央、さらに上下を加えた「天地の十方」に通じています。「三十六」は「六六三十六」に由来し、六甲(天干の変化)、六気(陰陽と四季)、六方向(東西南北上下)の組み合わせを表します。 「七十二」は「季節の七十二候」や「干支の組み合わせ」、「七曜と十二辰」などに関連させたもので、天地の時間秩序(暦法・星辰)を網羅する数です。

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