2025年 第34号
【長尾和宏の痛くない死に方】
長尾和宏です。なんと今日で8月が終わりなんですね。まだ残暑という言葉も言えないくらいの、酷暑。皆さん、ちゃんと睡眠と食事はとれていますか?
コロナが終わったというのに、暑さのために不要不急の外出は控えましょうとテレビに出続けるのは、ハッキリ言って、異常ですよね。
高齢者のおひとりさまは特に、暑さで外出を控えているうちに、うつ病や認知症のリスクも高まってしまうでしょう。昨日、ニュースを見ていたらこんな報道がありました。
2025年8月30日 朝日新聞の記事より…‥‥
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上半期の「孤独死」4万人 死亡から「8日以上」で把握は1万人超
今年の上半期(1~6月)に自宅で亡くなった一人暮らしの人は、全国で4万913人(暫定値)に上った。前年同期の暫定値から3686人増えた。警察庁が29日に発表した。
4万913人を年代別に見ると、10代以下23人、20代369人、30代529人、40代1206人、50代4002人、60代7304人、70代1万2874人、80代以上1万4515人で、年代が上がるにつれて増えている。
死亡推定日から警察が把握するまでの日数は、1日以内が1万5351人で4割近くを占めた。2日~1週間以内では1万3893人。実態把握を進める内閣府の作業部会が「孤立死」の目安とする「8日以上」は1万1669人いた。
孤独死や孤立死などの対策を検討する内閣府のプロジェクトチームは7月に報告書をとりまとめた。居場所やつながり作りのため、地域活動と人とのマッチングを支援することなどが必要だと指摘している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8月の終わりの今日、孤独死について多角的に考えてみましょう。
孤独死とどう向き合うか――日本と世界の現実
「孤独死」という言葉を聞くと、なんとなく日本特有の現象と思う方も多いかもしれません。しかし実際には、世界の先進国でも同様の問題が広がっています。
孤独死は、イギリスでは「lonely death」、アメリカでは「death in isolation」と呼ばれ、単身の高齢者が誰にも看取られずに亡くなる事例が増えています。
フランスやドイツでも同様に、都市部で家族や地域のつながりが薄れた結果、発見が遅れるケースが社会問題化しています。
つまり「孤独死」は、日本だけでなく、世界共通の高齢化社会の影です。
日本で「孤独死」が注目される背景
では、なぜ日本で特に「孤独死」という言葉が定着し、大きな不安として語られているのでしょうか。
第一に、日本は急速に「単身高齢世帯」が増えているという特徴があります。
厚生労働省の推計によれば、2040年には全世帯の約40%が単身世帯になる見込みです。その中でも高齢の単身者は増加を続け、特に男性高齢者の孤立が目立ちます。
第二に、戦後の都市化と核家族化によって「地域社会のつながり」が弱まったことが挙げられます。
かつては「隣近所がお互いを見守る」文化がありました。
しかし、都市部のマンションや賃貸住宅では住人同士が顔を知らないことも珍しくありません。発見が遅れる背景には、こうした社会構造の変化があります。
第三に、日本の「恥の文化」も影響しています。「家族や近所に迷惑をかけたくない」「弱い自分を見せたくない」と考える高齢者ほど、支援の手を拒みやすいのです。結果的に、孤立を深めてしまうのです。
そして、ここで見逃せないのが、「孤独死の男女差」です。
僕は、2017年、いまから8年前に、『男の孤独死』という本を上梓しました。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)