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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 294
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、バイブコーディング、バイブクリエイティブについてご紹介します。
米国ではバイブコーディング、中国ではバイブクリエイティブが盛り上がっています。バイブというのはノリや直感という意味で、ノリでプログラムや画像、映像、音楽などをつくっていくことです。
非常に大きいのが、チャットAIが生成AIのプロンプトの出力ができるようになったことです。例えば、「宇宙船の画像を作りたい。真っ暗な星間を航行をし、かなり汚れた古い輸送船にしたい。どのようなプロンプトを書けばいいか」と尋ねると、プロンプト例を出力してくれます。
これを生成AIに入れ、出力された画像を、再びチャットAIに読み込ませ、「ここをこういう風にしたい。プロンプトをどう修正すればいいか」と尋ねると、新しいプロンプトを出力してくれます。これを繰り返すことで、プログラムや画像などをつくってしまうことができます。
このバイブコーディングではプログラム言語の知識、バイブクリエイティブでは絵を描くスキルはなくても、一応の成果物がつくれることになります。その一方で、最初に仕上がりイメージをしっかりと持っておき、どこが違うかを指摘する企画能力、設計能力は求められることになります。
とは言え、エンジニアやデザイナーでなくても成果物がつくれることから、低レベルの制作=自分で使うスクリプトや店内ポスターなどは、もはやプロに依頼するのではなく、自分でつくってしまうようになっていくかもしれません。AIが社会に浸透する大きな原動力になりそうです。
今回は、スタンフォード大学が毎年公開しているAIインデクスレポートのデータを使いながら、AI先進国である米国と中国の比較をし、私たち日本はどうすればこのAI革命の時代を乗り切れるかについて考えます。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 294
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▼目次▼
中国で進むバイブコーディングとバイブクリエイティブ。なぜ、中国はAIの社会実装が早いのか
小米物語その212
バックナンバーPodcast
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次号以降の予定
Q&Aコーナー
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中国で進むバイブコーディングとバイブクリエイティブ。
なぜ、中国はAIの社会実装が早いのか
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今回は、中国AIの社会実装についてご紹介します。
中国では、社会にAIがどの程度浸透しているのか。みなさんもご興味があるでしょうし、私も興味があります。答えから言うと「使っていない企業はもはやない」と断言してもかまわないと思います。なぜなら、従来のITシステムにAIが組み込まれるようになっているからです。
例えば、在庫管理システムは、従来は在庫数をリアルタイム表示するデータベースのようなものですが、現在のものは出庫数から在庫がいつなくなるかを予測し、あまりに長期間残り続ける不良在庫にはアラートが表示されます。また、発注システムと連動していて、発注システムを開くと、すでに推薦する発注数が入っているというものは珍しくありません。
このような業務システムを自社開発してAIを組み込めるというのは、ごく限られたリーダー企業のみです。しかし、自力開発をする力のない企業は、アリババの釘釘(ディンディン)などのチームコラボツールを使ったり、テンセントのWeChat for Enterpriseなどで顧客管理をしていたりします。釘釘には企業の持つリソースをどこに割り当てをするかを決め、どこからでも訂正できる機能があり、人や機械の配置を調整するのに使われています。また、WeChatにはWeChat公式アカウントを通じて顧客を管理する機能を追加することができ、マーケティング分析やクーポンなどのプッシュに使われています。このようなツールが、現在ではAIを搭載し、より柔軟なニーズに応えられるようになっています。
つまり、かなり小さな企業、場合によっては個人経営の店舗まで、ひょっとしたら当人は気がついていないかもしれませんが、AIを業務に活用していることになります。
先日、日本のカフェに行くと、スタッフが面白いことをやっていました。注文票をカウンターに並べて、並べ替えをやっているのです。通常時は、注文の順番につくっていけば問題ありませんが、ピーク時になるとそれでは作業が回らなくなります。また、デリバリーの注文も入ってきます。デリバリーは騎手が取りにくるまである程度の時間がありますので、つくるのは多少後回しにしても問題ありません。また、ピーク時には同じメニューはまとめてつくって方が効率がよくなります。そのスタッフは、おそらく店長ないしはベテランで、ピーク時を乗り切るために、伝票を並べ替え、効率よく業務を回そうとしていたのだと思います。
中国の瑞幸珈琲(Luckin’ Coffee)や庫迪(Cotti Coffee)では、創業当時からこの作業はシステムが自動で行っていました。当初は、機械学習によるデータを参考に、人間が考えたアルゴリズムに基づいていましたが、年々改良され、機械学習ベースのAIに置き換えられています。
面白いのはなぜ創業時からこのようなシステムを開発したかという点です。作業の順番を考えるのは経験がないとうまくできない仕事ですが、専任のスタッフを置くほどの業務でもありません。店長格の人が、作業指示を行い、自分も飲料をつくる作業に入ります。
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