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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 283
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、小米が開発したSoC「XRING O1」についてご紹介します。
SoCというのはスマートフォンの頭脳部分で、CPUだけでなく、グラフィックのGPU、AI演算のNPUなどが1枚のチップに収まったSystem on Chipと呼ばれる重要部品です。
小米は、これまで米クアルコム社が開発したSnapdragonを使ってきましたが、小米15S Proには自社開発したXRING O1(エックスリングオーワン)を搭載すると発表しました。自社開発のSoCを使っているのは、アップル(Aシリーズ)、サムスン(Exynos)、ファーウェイ(Kirin)、グーグル(Tensor)の4社だけで、それ以外のスマホメーカーは、クアルコムか台湾メディアテックのSoCを使っています。
小米はそれだけではありません。OSに関しても、オープンソース版Androidをコア部分まで手を入れたHyperOSを発表し、さらに大規模言語モデルMiMoも発表しました。
これは、スマホメーカーの最終決戦が始まったシグナルです。スマホも登場以来20年近くとなり、次世代デバイスが求められるようになっています。それがグラスになるのかウォッチになるのか、今のところわかりません。
しかし、どんなデバイスになろうとも、SoC(演算力)、OS(操作性)、AI(思考力)の3つが重要になることははっきりとしています。
つまり、スマホメーカーからデバイスメーカーに生き残っていくための準備だと見るのが適切です。
しかし、一方で、ファーウェイの例を見るように、米国のチップ封鎖政策がありますので、中国企業はSoCを簡単につくるわけにはいきません。小米はこの制限をどのように潜り抜けてSoCを製造したのでしょうか。
今回は、小米が自社開発に成功した3nm最先端SoC「XRING O1」についてご紹介し、米国の規制をどのように潜り抜けたのかについてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 283
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▼目次▼
小米が自社開発のSoC「XRING O1」を発表。最先端3nmチップが意味すること
小米物語その201
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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小米が自社開発のSoC「XRING O1」を発表。
最先端3nmチップが意味すること
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今回は、小米が開発した最先端チップ「XRING O1」についてご紹介します。
小米(シャオミ)が、自社開発のSoC「玄戒O1」(シュエンジエ、XRINGオーワン)を発表しました。そのSoC(System on Chip)が世界最高レベルの3nm(ナノメートル)のものであり、これが大きな話題となりました。SoCというのはCPUやGPUなどをまとめたスマートフォンの頭脳です。
ここで大きな疑問がいろいろ湧いてきます。
ひとつは、どうやってつくったのかという問題です。3nmのSoCを量産する技術は中国国内にはありません。世界でも、韓国のサムスン、台湾の積体電路(TSMC)しかありません。サムスンは、自社用のチップ「Exynos」を製造するのに手一杯で、他企業のSoCを製造する余裕はありません。そのため、TSMCが製造したのだと推測されました。小米は公式には何も発表していませんが、TSMC製造という情報は、専門家の間ですでに確定情報になっています。
2つ目の問題は、米国政府による規制の中でどうして製造できたのかということです。「vol.195:ファーウェイがカムバック。影響を最も受ける米国企業、中国企業はどこなのか」(
https://tamakino.hatenablog.com/entry/2023/09/24/080000)、「vol.232:中国市場でiPhoneのシェアが急減。2世代遅れのファーウェイが性能でiPhoneと肩を並べることができている秘密」(https://tamakino.hatenablog.com/entry/2024/06/09/080000)などでもご紹介したように、米国政府は中国メーカーが先端半導体をつくれないようにしています。俗にチップ封鎖と呼ばれています。
ファーウェイは、このチップ封鎖の被害をもろに受けました。米商務省の産業安全保障局(BIS)は、米国市民の情報セキュリティを脅かす企業をエンティティリストとして発表をしました。半導体をつくるには、米国の技術、知的財産がどうしても必要となります。しかし、このリストに載っている企業に半導体を提供する企業には、米国の技術や知的財産を使わなせないという処置に出たのです。
当時、ファーウェイのメインチップ「麒麟」(Kirin)は、子会社の「海思」(ハイシリコン)が設計をし、台湾のTSMCが製造をしていました。しかし、ファーウェイがリストに載ってしまったため、TSMCがこれまでどおり、半導体を製造してファーウェイに納品すると、米国の技術、知的財産が使えなくなります。これは実質的に半導体がつくれないということですから、TSMCはファーウェイ向けの半導体製造をやめざるを得なくなります。
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