今回のメルマガでは、2025年5月半ばから丸善出版で正式にスタートした『ルネサンス・バロック文化事典』、またの名を『西洋近世文化事典』の計画について説明したいと思います。皆さまだけに一足先にご報告するもので、できたてホヤホヤの湯気が出ている内容ですので、まだまだSNSなどでは「ナイショ」でお願いします!
「ルネサンス・バロック文化事典の計画」
1. はじめに
いまから時間をさかのぼること数か月、あれは今年(2025年)の2月15日でした。僕とクレアは、月に一度くらいのペースでアジア系の大手スーパー「H-マート」に買い物に行くついでに、階上にある韓国食堂街でランチを食べるのを楽しみにしています。それぞれの注文が終わって、料理が出てくるのをワクワクと待っているときでした。
なんの前触れもなく、フェイスブックのDMに日本から着信がありました。『知のミクロコスモス』(中央公論新社、2014年)を一緒につくった立教大学の小澤実君からでした:
「ちょっと相談が」
これから楽しみにしていたランチなのになあと思いつつ、矢継ぎばやに送られているメッセージには、つぎのように書いてありました:
「先日刊行された『西洋中世文化事典』の近世版を丸善が作りたがっています」
「新しい傾向のものを作るならジェネラル・エディターはヒライさんが良いだろうと私は思っていますが、お仕事もあるでしょうから、丸善に推薦していいものかと迷っています」
といった感じでした。正直なところ、「やっぱり来たか」と僕は思いました。
『西洋中世文化事典』には「錬金術」という項目の記事を一本書いているのですが、その出版後にあたる数か月前(12月ごろだったと思います)、担当の丹治祥子さんとのメールのやりとりをしたときに、メールの末尾に丹治さんがつぎのように書いていたのです:
「遅ればせながら最近になって、『ルネサンス・バロックのブックガイド』(工作舎、2019年)を入手しました。これはすごい本だと思います。」
そこからさらに数年前にさかのぼりますが、もともと工作舎の担当の方とは、『ルネサンス・バロックのブックガイド』の次手として、単一のテーマにしぼった幾つかの本をシリーズとして出す計画を進めていました。
まだ名前は明かせないのですが、僕のなかでは「ラビリンス(迷宮)」計画と呼んでいます。その名前のせいかどうかは知りませんが、その直後に到来した3年間におよぶコロナ禍と相まって、一冊目の寄稿者A君の馬脚があまりに悪くて、なかなか思うように計画は進んでいません。現在(2025年春)の時点になって、そろそろ良い報せをお届けできそうな雰囲気もありますが、こうしたものは水ものであり、まだまだ先は読めません。
さらに「シリーズのあとには、『ルネサンス・バロックの思想辞典』を出したいですね」と担当者の方から言われていました。なにかを約束したつもりはないのですが、『ルネサンス・バロックのブックガイド』の出だしが好調だったこともあり、そういう流れになっていくのだろうというのが、2020年の段階での会話だったように思います。
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