世界的に短い日本の子供の睡眠時間

5月17日の産経ニュースに、「子供の大半が睡眠不足　学習、健康に悪影響　大規模調査で浮き彫りに」という記事が掲載された。本記事が紹介する通り、日本の子どもたちの睡眠不足はもはや一部の問題ではなく、全国的かつ構造的な健康課題となっている。東京大学の上田泰己教授や順天堂大学の谷川武教授らによる大規模調査においては、成長過程における学習、精神的健康、行動の安定性といった多面的領域に対する悪影響が明らかになっている。 　まず、子どもの推奨睡眠時間（例：小学生で9〜12時間）を95%以上が満たしていないという実態は、現代社会における生活リズムや学業負荷、ICT機器の普及などがもたらす「夜型傾向」の強まりを反映している。中でも注目すべきは、「ソーシャルジェットラグ」の拡大である。これは、平日と週末の起床・入眠時刻のズレが1時間を超えると集中力の低下が起こり、2時間以上になると心身の健康リスク（肥満、精神疾患、自律神経失調など）が高まるとされる。