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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 281
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、AIスマートフォンの状況についてご紹介します。
日本でもiPhoneやMacのApple Intelligenceがリリースされ、これでほとんどのスマートフォンがAI対応を完了したことになります。しかし、今のところ、熱狂というよりも冷めている感じで、大きな話題にはなっていないようです。
おそらく、多くの方が期待をしているのが、リアルタイム音声翻訳だとか、画像生成だとか、推論エンジンだとかの派手な機能を求めているかと思います。しかし、今のところ、校正だとか文字起こしだとか、実用的ではあるけど地味な機能が中心になっていることがあるかと思います。
スマホでAIを動かすというのは簡単ではないのです。プライバシーを守るため、オンデバイスで動かさなければなりません。すべての情報が、スマホの外に出ないようにする必要があります。
しかし、大きなAIモデルを動かすには大量のメモリが必要であり、AI演算をするNPUの性能も必要になります。ここをどうするか、各社はさまざまな工夫をしています。
今回は、各社がどのような工夫をしているかをご説明し、AIスマホの現状がどうなっているかについてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 281
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▼目次▼
AIスマートフォンの現在。アップル、グーグル、サムスン、中国メーカーの動向
小米物語その199
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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AIスマートフォンの現在。
アップル、グーグル、サムスン、中国メーカーの動向
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今回は、AIスマートフォンの現状についてご紹介します。
2025年4月から、アップルのApple Intelligenceが、日本や中国、韓国などで利用できるようになり、ほぼ世界中で使えるようになりました。いよいよ、AIスマホの時代が始まります。
と言っても、Apple Intelligenceは、もはや最先端を行くリーダーとは呼べなくなっています。なぜなら、2023年から2024年にかけて、中国のスマホ各社はAI化を完了しているからです。グーグルも2023年10月にPixel 8 ProにGemini nanoを搭載し、AI化しています。韓国のサムスンも2024年1月からGalaxy AIを搭載したスマホを発売しています。アップルは、このような流れの中で、AI化がいちばん遅くなるという事態になってしまいました。
特に中国市場での遅れは大きく、Apple Intelligenceはいまだに大規模言語モデル(LLM)に接続ができていません。その他の地域では、ChatGPTに接続することができ、複雑な内容についてはChatGPTを使うことができます。しかし、ChatGPTは、中国政府のグレートファイヤーウォールにより接続ができません(VPNを経由してChatGPTを使っている人はたくさんいます)。そのため、アリババの通義千問(Qwen)、百度の文心一言などを利用する交渉が進められていますが、間に合わず、中国ではLLMへの接続なしの状態でのApple Intelligenceのスタートとなりました。
なぜ、アップルのAI対応は遅いのでしょうか。AIチームの士気にさまざまな問題が生じているという報道もあります。内情についてはわからないところが多いですが、アップルのAI開発は、他社よりも相当に面倒であることは間違いありません。なぜなら、アップルは、ユーザーのプライバシーを最大限に尊重しながら、AI開発をしているからです。
例えば、メールの返事を生成してくれるAIエージェントを開発するには、実際のユーザーのメール本文を学習素材にすれば、かなり実用的なAIができあがります。しかし、アップルはそうはしません。ユーザーのメールの内容を見ることになってしまうからです。
一方で、ユーザーはAIには自分のすべてを知って欲しいと考えています。例えば、目の前にあるクッキーをカメラで撮影すると、「このクッキーは◯◯社の◯◯です。(レビューとユーザーの過去の嗜好から)美味しいと感じるはずです。(摂取カロリーと小麦アレルギーのある特性から)2枚以内に抑えることをお勧めします」と答えて欲しいのです。しかし、このような回答をするには、AIがプライバシーデータを把握しておく必要があります。
AIにはプライバシーデータを知っておいて欲しいけど、AIの運営には知られたくない。ましてやAI運営から漏洩するようなことがあっては困る。この矛盾したニーズに応える必要があります。
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