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『 田中優の未来レポート 』
第328号/2025.4.15
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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「住宅問題を考える(前編)」
空き家が増える中での住宅問題
三男が北九州でホームレス支援をしていた。その支援団体は「北九州ホームレス支援機構(現在「NPO法人抱樸」)」という老舗の団体で、その代表になっている奥田知志さんは言う。
「ホームレスはハウスレスとは違う、落ち着ける場であるホームを失ってしまっているのだ」と。
だから仮に家があったとしても、自分の居場所をなくしてしまった人たちはホームレスになるのだ。
一方のハウスレスも大問題だ。多くの人々はハウスを一軒立てるためにほとんど人生の収入のすべて投げうつ。そうでなければ、一生涯毎月の家賃を払い続けなければならない。その額は今や少数派となってしまった貯蓄が可能な世帯の人たちでも、支出全体の四分の一に及び、死ぬまで払い続けるのに最後まで自分のものにはならない。
一方で都会には空き家・空き室が増え続け、ついに一都三県の空き家は二百三万戸に達している。実に全国の空き家の四分の一が首都圏にある状態だ。需要と供給の原則に従えば、家賃は下落していいはずだ。それなのに家賃は上がり続け、さらに住宅建設は増加している。「何なのだ、これは」と言いたくなるような不思議な事態が進行している。
この問題を考えると、「空き家にはハウスレスの人たちを住まわせればいいではないか」と言いたくなるし、人口が減り始めた日本では、新たに家を建設するよりこれまで建ててしまった中古住宅を生かせばいいと思う。ところがそう簡単にならない事情があるのだ。
何より大きな原因は、日本の住宅は「資産になっていない」ことだ。たとえばアメリカやヨーロッパのように、数百年経った建物が未だに高く売れる社会だったらいい。ヨーロッパはもちろん、アメリカですら百年経った住宅の住宅価値が購入時の四分の一以上残る。ところが日本の住宅の実勢価格では、十五年経った住宅の担保価値はほぼゼロになり、三十年絶たずに建て替えを余儀なくされる。そのため日本には中古住宅の市場がない。それすら作れないほどなのだ。
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