夢の中とはいえ、手に入れたいものがあった。
それは「越中富山の反魂単(はんごんたん)」である。
富山県といえば「薬」。
かの有名な(聞けばわかる程度かもだけど、調べてみておくれ)江戸城腹痛事件で、江戸を駆け巡った「はらいた」を、なんとこのお薬を飲んだらたちまちに治ったという話があるくらいなのだ。それから一気に「薬は富山だな」という話題に相成ったという。
私自身は富山には縁もゆかりもなかったのだけど、今は昔、それこそ40年以上前の頃、家に富山の薬があったのを覚えている。
日本人より日本人の、ケント・デリカットが「あーると安心すーるぅ置き薬ぃ~♪」とCMしていた昔の話の、それよりもずっと昔々の頃のことだ。
もう、昔すぎてわからない。とにもかくにも祖母が管轄していた実家の赤い救急箱には、どういうわけかいつでも「薬は富山」と書いたなにかの薬があったのである。
あれは、本当に富山から営業とか行商に来ていたりしたのだろうか。
いやいや、そんなわけはないだろう。ここ、仙台だぞ。富山、遠すぎだろ。
潮風ギャラリーを出た後で、氣多神社にいそいそとご挨拶をし、私たちが向かったのは富山駅前にある「池田谷安兵衛商店」だった。
ここは漢方や丸薬、煎じ薬などの、昔ながらの薬剤を扱ういわば「ザ・薬の富山」の総本山のようなところである。
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