フランクミュラー

六本木の高級中華、RRRR。看板の金文字が夜の光を反射し、煌めく中華料理の香りが漂っていた。私は薔薇色の夢を抱きながら扉を開けた。だが、店内には思いがけない冷たい空気が流れていた。 「予約はお済みですか？」と、無表情の店員が言った。高級店にはそれなりのルールがあることはわかっている。しかし、せっかくの高級中華への道を踏み出した私を拒絶するとは、思いもしなかった。心の中で計画していた完璧なディナーのイメージが、瞬時に崩れ去る。 「すみません、今夜の予約はしていないんです」と言うと、店員の視線が私の手首へ移った。そこには、フランクミュラーのパーペチュアルカレンダーが光を放っていた。細かいデザインが施されたその時計は、まさに「時」を超えた存在感を持っている。 「少々お待ちください」と、彼は表情を変え、即座に奥へと入っていった。戻ってきて言った言葉は、先ほどの冷たい口調とは打って変わり、柔らかく、丁寧だった。「こちら空いていますので、VIPルームにご案内いたします。」 店の奥の靴を脱いで入る豪華な個室に案内されると、ふわりと香る高級な香木の匂いが鼻をくすぐった。優雅な装飾が施された部屋に目を奪われる。壁には古典的な中国絵画が掛けられ、薄暗い照明の中、静寂が漂っていた。