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高野孟のTHE JOURNAL Vol.693 2025.3.10
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1301》
トランプの「怒りと憎しみの政治」を超える思想はアジ
アから立ち現れるのか?/オールソン「生物互恵」論に
注目
【2】《CONFAB No.658》
閑中忙話(3月2日~8日)
【3】《FLASH No.586》
窮屈になった参院での審議日程…石破政権は「企業・団
体献金」問題決着の大難問にぶち当たる/日刊ゲンダイ
3月6日付「永田町の裏を読む」から転載
■■INSIDER No.1301 25/03/10 ■■■■■■■■■■
トランプの「怒りと憎しみの政治」を超える思想はアジ
アから立ち現れるのか?/オールソン「生物互恵」論に
注目
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先週の本誌は、トランプ政権を突き動かしているのは
「怒りと憎しみ」の政治であることを論じた。これは独
り米国だけのことではなく、西欧主要国や旧東欧諸国で
も移民への憎悪を煽る極右勢力が台頭し、あのドイツで
さえもネオナチ政党が第2党に躍進するという仰天の事
態が生じていて、水野和夫の言う「資本主義の終焉」に
直面していわゆる“先進国”がいずれも先行きを見失っ
てダッチロールし始めていることが見て取れる。
華やかで贅沢な暮らしはいつまでも続くものではな
く、それを支えていた「フロンティア」という名の植民
地的な搾取・収奪の最前線がもはや地上に存在しなくな
ればたちまち萎み始めるのは、理の当然である。宇宙に
目を向けたところで、月や火星に鉱物資源は埋まってい
るかもしれないが、それを掘り出して地球にまで持ち帰
るコストはそれこそ天文学的で、お話にならないし、何
より、搾取して超過利潤を生み出すべき労働力としての
人間もしくは他の生物がいないので、少なくとも今のと
ころ、宇宙はフロンティアとはなり得ない。そのため今
度は、物理的限界がない電子空間に注目し、その中で予
め仕組んだアルゴリズム同士が10億分の1秒差の勝ち負
けを争う電子的カジノ資本主義が生まれたが、それはそ
れだけの装置やシステムを用意できる極少数者の間のゲ
ームにすぎず、資本主義全体にとっては一時の苦悩を紛
らわすためのカンフル注射のようなものでしかない。
出口のない行き詰まり感が「苛立ち」を生み、「怒り
と憎しみ」を増幅させる。その具体的な戯画的表象がト
ランプなのである。
●稲作漁撈文明vs麦作牧畜文明
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