■話のリード権は聞き手が持っている
会話で目立つのは話し手だ。話の内容の中心になっているのも話し
てだ。ただ、いざ話すとなると、話し手は聞き手の影響を大きく受
けている。
たとえば、面白いことがあって、それを伝えようと話し始めたとす
る。ところが、聞き手の反応やリアクションが薄いと話す気は失せ
ていく。話し手が、どれだけ濃く話すかは聞き手次第なのだ。
つまり、聞き手のあり方が、話し手の話し方を変えるのだ。話し手
が気持ちよく話すためには、話し手のスキルより、相手が良い聞き
手であることが重要なのだ。
会話がうまく進まない、本音で話してもらえない、話を聞いてもら
えない、相手と距離が縮まないといったコミュニケーションに関す
る悩みを抱えているなら聞き方を見直すべきだ。
自分が良い聞き手になれば、相手は心を開き、もっと近く、もっと
深く、会話が正しいものになる。聞き方を整えれば、相手との関係
性を一歩進めることができるはずだ。
★
息を吐くためには、まず吸う必要がある。会話も同じだ。話すこと
と聞くことを繰り返すから成立する。きちんと話すためには、まず
しっかり聞くことが大切なのだ。
会話が空回りする人は、相手の話が聞けていないのだ。自分の言い
たいことを考えることで頭がいっぱいになり、相手を無視して一人
で突っ走っているのだ。
これでは、どんなに話し方が上手くても、相手はついてこられな
い。その結果、コミュニケーションを楽しむこともとうていできな
くなる。
★
「ぴったりの表現」「的確な言い回し」という時「言い得て妙」と
いう。それは聞き手の気持ちを表す。聞き手が「自分が言いたかっ
たことは正にそれだ」と思った時にそう表現するのだ。
うまく話せる人とは、相手の気持ちを汲み、共感が生まれるように
話す人だ。相手の話を聞かないで、相手の気持ちを汲むことなどで
きるはずがない。
だからこそ、うまく聞ける人は、話すこと以上に聞くことを大事に
する。相手に寄り添う姿勢が、距離感を縮めるのだ。その結果、コ
ミュニケーションも気持ちよくできるようになるのだ。
★
聞くことで受け取りたいのは「言葉」よりも「心」だ。「言葉を聞
く」のでなく「心を聞く」べきなのだ。相手の言葉の少し奥にまで
手を伸ばすイメージだ。
たとえば、相手が「これはあまり好きじゃない」と言ったとする。
それを言葉通り受け取ることもできるが、もう一歩踏み込んで考え
てみることもできる。
なぜ「嫌いや苦手でなく、好きじゃないというのか」「これはとい
うことは、似ているが好きなものもあるかもしれない」「あまりと
はどのくらいのイメージなのだろうか」という具合だ。
あえて「好きじゃない」という言葉を選んだ理由が相手の中にある
はずだ。少し視野を広げて、そこまで手を伸ばしてみることだ。そ
れが、相手に興味を持つと言うことだ。
★
相手に興味があるなら、相手の話をもっと聞きたくなるはずだ。そ
れは必ず態度にも現れる。誰しも、自分に興味を持ってくる人に話
したいと思うものだ。
自分に興味を持ってくれる相手に興味が湧けば「その人の話も聞い
てみたい」と思うはずだ。こうして聞き上手な人は、話を聞いても
らいやすくなるのだ。
相手を大事にすれば、相手からも大事にしてもらえるのだ。自分の
話を聞いて欲しいなら、まず相手の話をしっかり、丁寧に聞くこと
からはじめるべきなのだ。
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