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『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』
~時代の本質を知る力を身につけよう~【Vol.97】
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【今週号の目次】
1. 気になったニュースから
◆ アップルが5000億ドル超を米国内に投資する計画を発表
2. 今週のメインコラム
◆ 【新シリーズ】ドナルド・トランプ氏は何をしようとしているのか?(その6)
3. 読者の質問に答えます!
4. スタッフ“イギー”のつぶやき
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2. 今週のメインコラム
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◆ 【新シリーズ】ドナルド・トランプ氏は何をしようとしているのか?(その6)
ウクライナ戦争の終結を巡る動きから、海外の富裕層にグリーンカードならぬゴールドカードを発行する話まで、毎日目が離せないくらいトランプ2.0革命が猛烈なスピードで進んでいます。
そのような中、上院での承認が遅れていたカシュ・パテル氏のFBI長官就任がようやく決まり、同様に承認まで時間が掛かったロバート・F・ケネディJr.(RFKJr.)氏の保健福祉長官就任も含め、 トランプ2.0政権の主要人事 がほぼすべて固まりました。要となるポジションには、トランプ政権でなければ決してあり得ないような意外性も含めた斬新な人事が執り行われています。バイデン政権時代の主に民主党による腐敗を根絶し、新しい米国を作り直す上ではこれ以上ないチームと言え、全員が使命感に燃えています。
前号でお伝えした副大統領のJD ヴァンス氏のミュンヘンでの演説は、まさに新しいトランプ政権の決意表明とも言えるものでした。米欧の分断を煽る演説だったと激しく批判されており、実際そのようなリスクを高める結果にはなりましたが、おそらくトランプ2.0政権の本音では必ずしもそういうことを意図したわけではなかったと思います。
「民主主義に基づいた同じ価値観を共有する古くからの同胞として、自由と平和を尊重し、改めて結束を固め直してお互いの役割をしっかり果たしていこう。それが出来ないなら、米国は欧州と距離を置くことになる」というつもりで欧州勢に覚醒を促すメッセージだったと解釈するのが正しいように思います。しかし、既得権益に拘泥し、現状変更を嫌う欧州やNATOの首脳陣たちからは、それがまるで自分たちに喧嘩を売っているようなメッセージに聞こえたのだと思います。
爆速で動くチーム・トランプの中でも、イーロン・マスク氏が率いるDOGE(Department of Government Efficiency、政府効率化省)は、凄まじい勢いで米連邦政府の改革を推進しています。改めて米国の統治機構を考えてみれば、United States(合衆国)という名の連邦共和国として、50の各州にそれぞれ州法があり、州兵もいて、州知事に強い権限が与えられている米国の統治機構において、それらを束ねるワシントンD.C.の「連邦政府」にはそもそも無駄が多いと言えます。
ちなみに、米国史を遡ってみると、米国の統治機構は、1776年の建国当初からこのような形になっていたわけではなく、南北戦争後の1871年に制定されたコロンビア特別区基本法によって今のワシントンD.C.(Washington, District of Columbia)地区が連邦政府の直轄自治区として整備され、その後、連邦政府の首都機能がこの地を拠点として計画的に強化されていったことがわかります。
DOGEは、肥大化した連邦政府の無駄を省くだけでなく、長く連邦政府に巣くってきた腐敗も徹底的に掘り起こそうと情け容赦なく各種連邦政府機関の閉鎖や縮小、リストラを強行しつつありますが、トランプ大統領から「もっと攻撃的にやれ」と発破をかけられたこともあってか多少やり過ぎ気味で、ここにきてDOGEの母体ともなっている US Digital Service (米国デジタルサービス)の職員21人がマスク氏に反発して一斉に退職したと報道されています。しかし、マスク氏はXに「辞めなくてもクビになっていた人たちだ」と投稿して意に介してはいない様子です。
DOGEのターゲットは、既にこのメルマガでも取り上げたUSAIDだけでなく、--
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