第355号(2025年2月28日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガ
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
をお読みいただきありがとうございます。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
引き続き
【ビジネスにも活かせる外交交渉からの教訓】
についてお話しいたします。
今週号では、先週に引き続き
【チームワークの功罪(Pros & Cons of the Teamwork)】についてお話しいたします。
その内容は本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、
今週もいろいろなことが起きました。
一つ目は【ロシアによるウクライナ侵攻から3年が経過したこと】についてです。
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ全土への侵攻から3年。
戦況は一進一退の攻防を続け、停滞気味と言えますが、
このところ目に見えてウクライナの軍事的な劣勢が顕著になってきています。
そしてこの3年で大きく変わったことと言えば、トランプ大統領の再登板により、
アメリカは一見、
ロシア(プーチン大統領)寄りに傾き、ウクライナのゼレンスキー大統領にとっては、
さらに立場が悪くなってきているように見えることでしょう。
ただでさえ困っているゼレンスキー大統領に、トランプ大統領はディール・メイキングを仕掛け、
『アメリカがこれまでにウクライナに供与した5000億ドルは返還されなくてはならず、
その元手としてウクライナに埋蔵されているレアアースをアメリカに譲るべき』
と限りなく高めの球を投げて“交渉”をスタートさせたトランプ大統領。
『実際には1000億ドルほどのはず』とゼレンスキー大統領が反攻すると、
トランプ大統領は一気にゼレンスキー大統領を悪者に仕立て上げ、非難を浴びせかけて、
ついには退陣まで迫るというめちゃくちゃな手段に打って出ています。
『NATO加盟を含むウクライナの安全保障が確約されるのであれば退陣を受け入れる』
とゼレンスキー大統領に言わせたものの、この条件がかなえられる見込みはなく、
トランプ大統領からのさらなる攻撃に晒されるゼレンスキー大統領です。
米ロ間で進められる和平協議は必ずしも悪ではないと考えますが、のけ者にされた欧州とウクライナは怒り心頭で、
ロシアによる侵攻から3年の2月24日にキーウにカナダのトルドー首相とEUのリーダーたちが集い、連携をアピールしたのは、
米ロへの対抗心なのでしょうか?
それとも関与を求める示威行為なのでしょうか?
まだまだウクライナを巡る国際的な駆け引きから目が離せない状況です。
二つ目は【ドイツにも迫る極右の波】についてです。
2月23日に行われたドイツ総選挙では、ショルツ前首相が率いるSPDは歴史的敗北を喫し、
代わりにメルツ氏が率いるキリスト教民主党(CDU)が第1党に返り咲きました。
しかし、僅差で第2党に躍り出たのが極右で“Germany First”を掲げ、移民排斥を訴えるドイツ人のための選択(AfD)だったことは、
ドイツ国内はもちろん、欧州全体にも大きなショックを与えました。
国内で極右との連立を禁ずるCDUは、極右のAfDではなく、SPDとの大連立を組む予定と言われていますが、
確実に伸びる極右の支持に直面し、安全保障政策他で相容れないとされるCDUとSPDが中道的な政治を貫けるかは、
かなり見通しが厳しいと思われます。
今後、欧州による対ウクライナ、対中東政策といった外交安全保障政策のみならず、
欧州の統合の先行きに大きな影響を与えるのがドイツの動向であるため、
こちらも国際情勢の裏側としては目が離せないと言えます。
三つ目は【再び緊張が高まる中東情勢】です。
ガザにおけるイスラエルとハマスの間での停戦合意の第1段階が継続しており、
戦闘の一時停止と人質の相互交換が進んでいますが、恒久的な停戦について話し合う第2段階に向けた壁は
予想通りに(予想以上に?!)高いようです。
合意内容によれば3月1日までにハマスが一定数の人質の解放を行うことになっていますが、
第1段階終盤に差し掛かって解放が滞っており、それに苛立ちを隠せないイスラエルサイドも、
パレスチナ人の政治犯の釈放を停止し、かつガザへの再攻撃を匂わせる発言がまた目立ちだしました。
今回はトランプ政権ががっちりと停戦の実行に絡んでいるため、イスラエルもなかなか動きづらいように見えますが、
合意の実行が滞っていることにトランプ政権の中東特使であるウィトコフ氏も困惑しているようで、
ここにきて第1段階の延長についても協議しているとのこと。
またトランプ発言(ガザを所有し、パレスチナ人の恒久的な移住)を受けて、
本来、協力を仰ぐべき中東諸国(アラブ諸国)との間にすきま風が吹いており、
ガザを巡る今後に向けての協議は難航が予想されます。
何かマジックは起きるのでしょうか?注目です。
今週号の【2-国際情勢の裏側】では、
【Breakthrough? それともBreak down? ー 混迷する国際秩序の行方】
と題してお話しします
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)