■感謝の正体
自己啓発本には「感謝するとうまくいく」と書いてある。だが、そ
の通りに感謝したり、「ありがとう」と言ったりしているのに、ま
ったく効果が出ないという人もいる。
そういう人は、やり方を間違えている。たとえば、感謝の気持ちが
あっても相手に言葉で伝えていないとか、感謝していないのに、呪
文のように「ありがとう」と唱えている。それでは効果は出ない。
感謝については、科学的根拠がある。米国を中心に幸福心理学が普
及し、親切や感謝などのポジティブな感情、幸福感などにフォーカ
スした心理学的研究が進んでいる。
こうした研究では、ポジティブな感情は仕事やメンタル、睡眠、体
調、幸福度に効果があることが立証されている。さらには、感情と
脳の関係や脳内物質の分泌の仕組みも明らかにされつつある。
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感謝には、3つの段階がある。まず、何かしてもらったら「ありが
とう」と言う親切に対する感謝だ。次に、当たり前のことに「あり
がとう」と言う日常に対する感謝だ。
そして、1番上のステージあるのが、何が起きても「ありがとう」
という逆境への感謝だ。ここにたどり着くことではじめて「感謝
脳」が完成するのだ。
そのためには、自分にとって「何が幸せか」を知ることだ。そして、
日常のありがたさに気づき、それを自然に感じられるようになることだ。
そうすれば、どんなピンチに直面しても感謝でき、何が起きても
「ありがとう」と思えるようになりはずだ。普段から感謝思考を心
がけることが、ステップアップには必要なのだ。
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感謝なしでは、幸せにはなれない。夢も叶わない。うまくいく人
は、常に感謝し続けている人だ。そのためには日常が、感謝にあふ
れる日々にならなければならない。
なぜなら、人生は当たり前の日常が大半を占めるからだ。たとえお
金持ちになっても、やがてそれは当たり前になる。逆に経済的に貧
しくても、感謝して幸せに生きている人はたくさんいる。
幸せの基準が高くなり、それが当たり前になれば、どこまでいって
も幸せにはなれない。幸せが自分の一歩先にあるように思えてしま
うからだ。そうなると、永遠に幸せに追いつくことができない。
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言葉に思いを乗せるには、語源をすることだ。感謝の語源は「あり
がとう」や「ごめんなさい」という言葉を射ることで、緊張した状
態を緩め、相手の中に存在する神の心も動かすことだ。
「ありがとう」は、自力ではあり得ない現象が起きた時に由来する
「有り難し」が語源だ。元々、自然界や神仏に使われていた。それ
が、感謝の気持ちを伝えるために用いられるようになった。
大事なことは、単に「ありがとう」と言えばいいというものではな
いことだ。感謝の言葉を発する手前には、感謝の念があることが大
前提だ。
念は、今の心と書く。今、目の前にいる人、今、起きていることを
大事にすることが大事だ。それを積み重ねることが、心を込めるこ
とにつながり、感謝の念として自然に現れてくるのだ。
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何かしてもらったら「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える事だ。
そのためには、いただいたことに気づく必要がある。これを「知恩
感謝」と言う。
これができたら、自分も誰かに恩を送ることだ。これを「報恩感
謝」と言う。恩を自覚したら、今度は自分が恩を送り、恩の循環
をさせるのだ。それが巡り巡って自分を幸せにするのだ。
日ごろから「ありがとう」と言おう、「ありがとう」と言われよう
と意識して行動することだ。なぜなら、互いに伝え合うことが、幸
せの本質だからだ。
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