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【痛くない死に方 2025年第4号】もしも日本がWHOから脱退したら? 一流国から転落するのか?

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2025/01/25
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2025年 第4号 【長尾和宏の痛くない死に方】 長尾和宏です。今年の1月はほんとうにあたたかな日が続いていますね。 インフルエンザもピークが終わり、早くも「花粉症」の季節だとか。 先生、私の症状はコロナ? インフル? 花粉症?? なんていうメールや電話を今でも毎日のように誰かからいただくけれど、ごめんなさい。わかりません。寝込むほどの症状でないのなら、病名がなんであれ、回復を待てばいいのではないかな、と言うと、長尾先生は、花粉症の人のしんどさが医者のくせにわからへんのか! なんて、怒られたりもします。 なんで勝手に相談してきて、わからないと言うと、怒られないといけないのかよくわからないですが、まあ、それだけ頼られているということなのかな。でもねえ、わからないものは、わからないというしかないです。 イベルの質問もそうです。「花粉症にイベルは効きますか?」といわれても、僕は実際、花粉症に試したことはないので、「わかりません」としか言いようがありません。基本的に、花粉症の薬と併用しても問題はないといわれていますので、試してみる価値はあるかと思います。 確かに僕は、一度も、花粉症になったことがないです。花粉症になるほど、繊細に生きてこられなかった。貧困家庭で、親のケアがほとんどなく放置された幼少時代だっので、たぶんそこで、免疫鍛練されてきたのだと思います。そうはいっても、幼少期にいろいろな汚いものに触れて、アレルギーを起こしにくい状態であったのが、歳をとって、ある日突然、アレルゲンが爆発する人もいるんですよ! そんなことも知らないのですか!とさらに怒られることもあります。確かにそういう人はいますね。 ただ、これはあくまで、僕が長年花粉症の人を大勢みてきたことからの感想だけれど……大人になってから突然花粉症を発する人は、 1) 喫煙歴のある人 2) 甘い物が大好きな人 3) 偏食で、腸内環境が悪い人 に多い気がしてならない。 特に女性に多いのが2)甘い物が大好きな人、です。 米飯は敵!とばかりに、鮨屋に行っても握り鮨は頼まないとか(高級鮨屋に行って、平気でシャリだけ残す女性を見ると幻滅する。寿司職人への冒涜である)、そういう極端な炭水化物ダイエットをしているけれど、「甘い物は別」と、必ず一日に一個は、コンビニでデザートを買って食べている若い女性は意外と多い。花粉症の人の気持ちもわからないかもしれないけれど、ケーキ屋に長時間並んでいる人の気持ちが、僕にはサッパリわかりません。すんまへん。 なぜ砂糖が花粉症に関係あるの? そのキーワードは、「コルチゾール」。 コルチゾールとは、別名、「ストレスホルモン」と呼ばれている物質です。主に、副腎(ふくじん)という小さな臓器で作られています。 このホルモンは、私たちの日々のエネルギー供給を調整したり、血圧を安定させたり、免疫システムをコントロールしたりする、大事な大事な役割を持ったホルモンです。 たとえば、何か危険を感じたときに、脳の指令により、体内では、コルチゾールが分泌されます。命を守るため、「戦うか? 逃げるか?」というモードを切り替えてくれているのです。集中力を高めるためにも、とても大切なホルモンであることがわかっています。 一方、ストレス状態が長く続くとコルチゾールが高い状態が続き、疲れやすくなったり、眠れなくなったり、免疫が弱くなって風邪をひきやすくもなるのです。また、血糖値や血圧が上がる原因にもなりえます。 で、花粉症との関係ですが、花粉に反応して出るくしゃみや鼻水、目のかゆみなどの反応を抑えるために頑張ってくれているのも、このコルチゾールというホルモンです。しかし、お菓子などで糖質を毎日過剰に食べている人は、血糖値が急上昇しています。この血糖値を下げるため分泌されるのがインスリンです。しかし、インスリンが出すぎたために、逆に血糖値が下がりすぎてしまうことがままあります。 この、下がりすぎた血糖値を安定させるために出動するのが、そう、コルチゾールです。つまり、甘いものを食べている人は、血糖値安定のために、脳がコルチゾールに出動命令を下すため、くしゃみや鼻水を抑制するためのコルチゾール隊員がいなくなってしまう……結果、「花粉症」という事態を引き起こしてしまう、と考えられています。 それなら、体内のコルチゾールを増やせばいいじゃん! と思われるかもしれませんが、そんな単純な話ではありません。 コルチゾールは適度であれば体にとって必要ですが、増えすぎたら増えすぎたで、疲れやすい、免疫力の低下、太りやすいなどの症状が現れます。 日本は山国。杉の木も、ブタクサも、昔からたくさんありました。しかし、昔の人は、毎日甘い物を食べるなどという生活はできなかった。花粉症が現代病といわれるのは、すなわち、甘いものをたくさん食べている人が増えた結果ともいえるのです。 現代の多くの人は、甘い物依存症に陥っています。次から次へと、新しいデザートが登場してしまい、脳が甘い物を欲しているのです。 本当に甘いものを体が欲しているのなら、砂糖を舐めていればいいわけですが、砂糖を舐めたいという欲求はほとんどの人にはないと思います。 新しいチョコレートケーキのお店ができたとします。そこのチョコケーキがめちゃくちゃ美味しかった。また食べたい。他のケーキは欲しくない。これは、体の栄養不足ではなく、脳の報酬系が暴走しているだけのこと。 そして、脳の報酬系は、暴走し続けます。「これでもういい」ということがないわけです。甘いもの依存症のメカニズムは、薬物依存のそれに、よく似ています。 僕は最近痩せた痩せたとよく言われますが、これは、在宅医時代の不規則な生活によるストレスで、暴走していた脳の報酬系がようやく収まったからだと思われます。タバコもそう、甘い物もそう、抱えがたいストレスを軽減するために、報酬系が暴走してまうのです。 いずれにせよ、花粉症が辛い、甘い物が大好き、と言う人はこの春は少し、甘い物を制限してみてください。 「これを食べなきゃ、明日は、花粉症が楽になれるぞ」と自分で自分に言い聞かせてください。 薬に頼るよりもずっと効果的です。コルチゾールの無駄遣いを、やめてみましょう。 街角にあふれる色とりどりのバレンタイン商戦を空しく眺めながら、ふとそんなことを思いました。

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  • 本邦初!100パーセント「死」のことについて語るメルマガ。2000人以上を看取った医師であり、日本尊厳死協会副理事として、日々「死」と向き合う医師と一緒に、死に方について考えませんか? 家族の死と向き合わなければならない人、大切な人が死んで、喪失感から抜け出せない人、今、どうしようもなく「死にたい」人も……あなたのこころに届くメッセージが満載です。
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