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『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』
~時代の本質を知る力を身につけよう~【Vol.92】
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【今週号の目次】
1. 気になったニュースから
◆ メタやマイクロソフトでリストラが進行中
2. 今週のメインコラム
◆ 【新シリーズ】ドナルド・トランプ氏は何をしようとしているのか?(その1)
3. 読者の質問に答えます!
4. スタッフ“イギー”のつぶやき
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1. 気になったニュースから
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◆ メタやマイクロソフトでリストラが進行中
米国時間1月20日に行われたトランプ大統領の就任式には、イーロン・マスクは当然として、スンダー・ピチャイ、ティム・クック、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、サティア・ナデラ(参加とされていましたが姿は確認できていません)等々、GAFAMのCEOや創業者を始めとしたハイテク界の経営者たちも大集合でしたが、ブルームバーグやCNBCによると、メタは全社員の約5%、マイクロソフトは約1%にあたる社員のリストラを断行中だそうです。
メタCEOのザッカーバーグは、2度目のトランプ政権発足に伴い、これまでバイデン政権の圧力に屈してフェイスブックやインスタグラムで検閲を行っていたことをカミングアウトして懺悔し、ファクトチェックの廃止を宣言したことでも話題になりましたが、社内向けのメッセージで「低パフォーマーを迅速に排除する」として次のように述べています。
「メタは、AIや次世代コンピューティングの基盤となるメガネ型デバイス、SNSの未来など、世界で最も重要なテクノロジーのいくつかを構築している。私は、この1年が非常に熾烈な年になると考えており、この会社に最高の人材が集まっていることを確実にしたい。」
人員削減の対象となる社員への通知は、米国内では2月10日に行われる予定で、米国外の社員はその後になるようです。
メタは、2022年にも、大規模再編の一環として約1万1000人をリストラし、その翌年もザッカーバーグが「効率化の年」と呼ぶ中、さらに1万人を削減しました。マイクロソフトも、2023年にオフィススペースを統廃合して1万人を削減、さらに、2024年初頭には、690億ドル(約10兆7600億円、1USD=156円)でゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを買収したのに伴い、ゲーム部門で1900人のリストラを行っています。
メタやマイクロソフトに限らず、米国企業でのリストラは別に珍しいことではありません。私がいたグーグルも、2023年1月、AIシフトを理由にアルファベット(グーグルの持株会社)全体で当時の従業員全体の6%にあたる1万2000人のリストラを宣言しました。
なお、外資系企業では、大規模なリストラ以外にも小規模なリストラは頻繁ですし、パフォーマンスが低い社員の入れ替えも定期的に行っています。私が在籍した当時のグーグルでも、毎年のパフォーマンス評価で下位5%に当たる社員の削減が義務付けられていて、日本法人では代表だった私がその作業の最終責任者でしたが、これは実に気が重い作業でした。
プロセスとしては、部門ごとに下位5%に当たる社員にまずは3ヶ月間のPIP(Performance Improvement Plan)というプログラムが適用されます。これは、パフォーマンスが低い社員のパフォーマンス改善を目的としたもので、上長が対象となる社員の課題を具体的に指摘した上でパフォーマンスの改善を求めます。その結果、パフォーマンスの改善が認められれば残留が許されますが、改善が見られない場合には退職勧奨が行われます。
グーグルには優秀な社員が多かったので、--
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