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2025年1月17日号(Vol. 349)-リーダーシップ・スタイルと交渉術(6)&秩序なくさまよう国際情勢‐強国がすべてを牛耳る世界の継続か?それとも分極化する無秩序な世界の固定化か?

最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』
第349号(2025年1月17日号) 『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』 はじめに: いつもメルマガ 『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』 をお読みいただきありがとうございます。 さて、今週号の内容ですが、まず【1】の 『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、 今週も引き続き 【リーダーシップ・スタイルと交渉術】 についてお話しいたします。 今回は最近はやりのServant Leadershipについてお話しします。 その内容は本編をお楽しみに♪ 次に【2―国際情勢の裏側】ですが、 今週も本当にいろいろなことが起きました。 一つ目は【ICC(国際刑事裁判所)を巡る国際的なダブルスタンダードが露呈したこと】です。 ICCは“中立な第3者機関”として存立し、国際社会における戦争犯罪や人道に対する犯罪を裁くことを任務としています。 ロシアがウクライナに侵攻し、ブチャなどでの“虐殺”の疑いを、ICCの独立検察官が検証し、ロシアおよびプーチン大統領を 【人道に対する罪】で訴追したことと、日本の赤根智子氏が所長に選出されたことで名が世に知れ渡ることとなり、 ロシアおよびプーチン大統領を有罪判定した際には、欧米諸国は挙って支持したことは記憶に新しいかと思います。 しかし、イスラエルによるガザへの無差別攻撃を受け、ICCがネタニエフ首相などを人道に対する罪で訴追した際には、 欧米諸国は非難に回り、加盟国・締約国でもないアメリカは制裁法案まで議会で可決させて 『ICCの判断に従う国はアメリカの制裁対象とする』とまで言い、明らかなイスラエル贔屓と、 お得意のダブルスタンダードを示してしまいました。 残念ながら欧州各国もそれに続く様相を呈しており、ICCに対する逆風が高まり、 今後、ICCの義務執行が著しく妨げされる恐れが高まっています。 まさに秩序が不在のめちゃくちゃな状況と言えます。 2つ目は【ガザ情勢を巡る調停努力】についてです。 精根尽き果てて一旦、仲介プロセスから退いたカタール政府ですが、アメリカのバイデン政権からの強い要請で 『最後の努力』として今週、バイデン退任前に調停プロセスに復帰しています。 トランプ政権誕生に向けた駆け込みのように16日、イスラエルとハマスの間で戦闘休止と人質解放についての合意がなされました。今後、これまで交渉官レベルでの合意をことごとく一蹴してきたネタニエフ首相およびイスラエル議会が これを受け入れるかどうか、そしてハマス内部の強硬派が合意に従うかなど、まだまだハードルはありますが、 ひとまず“合意”が成り立ちました。 今後、ガザ情勢の“解決”の内容如何によって、レバノン問題、シリア問題、 そしてイランを巡る様々な駆け引きの行方が変わってくると思われることから協議の進捗を注視していますが、 “合意”後も実は現場からあまり前向きな声は聞こえてきません。 一応、トランプ大統領も今回の“合意”を歓迎し、自身の政権で中東問題担当特使を務める スティーブ・ウィトコフ氏を同席させただけでなく、ウィトコフ氏をネタニエフ首相と会談させて合意を迫ったようですので、 今回はネタニエフ首相も合意するものと考えますが、政権内の極右からの反応次第では、 どのような“答え”を出すかは不透明です。 3つ目は【ロシアと中国の揺さぶりと、ウクライナ戦争の行方】です。 ロシアと中国が原子力発電に必要な低濃縮ウランの供給を、 アメリカに対する外交的な綱引きの材料に使う動きが強まっています。 ロシアは対米輸出(実はアメリカが調達する低濃縮ウランのうち、24%はロシア産の低濃縮ウランが占める)を 停止することを表明したことで、アメリカの原子炉の稼働に制限がかかる見込みが高まっています。 実はウラン鉱石の濃縮のための遠心分離機の世界シェアの4割をロシア企業が握り、代替が難しいため、 対米交渉カードになっていると考えられます。 そうすることで、アメリカのトランプ新政権がウクライナにこれ以上肩入れしないようにする圧力をかけようという 狙いがあるのではないかと考えられます。 その一方、中国は対米輸出を増加させてアメリカに恩を売る戦略を展開し始めていますが、 これはトランプ政権が誕生する前に中国への戦略的依存度を高めさせておいて、 トランプ新大統領に『中国への制裁を強めるのであれば、中国は低濃縮ウランの対米輸出を絞るか停止する』という ディール・メイキングをしようとしていると思われます。 トランプ大統領が実際にどのような対応を取るのかは不透明ですが、 中国と見事なコンビネーションを組んだ“ウクライナを巡る対米戦略”に打って出てきたと見ることができます。 これはトランプ大統領が掲げるロシア・ウクライナ間の停戦協議の内容をも左右するものと考えられますが、 同時に欧米諸国におけるエネルギー安全保障と、各国の脱炭素戦略の行方も狂わせかねない恐れがあります。 今週号の【2-国際情勢の裏側】では、 【秩序なくさまよう国際情勢‐強国がすべてを牛耳る世界の継続か?それとも分極化する無秩序な世界の固定化か?】 と題してお話しします。 今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。 それでは今週号、スタートします★

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  • 世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。
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