あけましておめでとうございます。2024年も皆さんの温かいサポートのおかげで、BHの活動を大きく展開することができました。5月と6月のメルマガで大転機の様子については、ご報告しましたが、その後の展開をふくめて今号のメルマガではレポートしたいと思います。
1. 英語による海外での出版物
まずは今年のガチのオシゴトの紹介からです。今年は早いペースで3本の英語の論文が出版されました。というか、電子版の出版は早いのですが、紙版は結局のところいつものながらのスピードだったかも知れません。
「ジョルダーノ・ブルーノ、普遍生命論、生きた粒子」
“Giordano Bruno, Universal Animation and Living Atoms,” in Pantheism and Panpsychism, ed. Paul Richard Blum, Special Issue, Intellectual History Review 34 (2024), 127-144.
最初の一本は、Intellectual History Review 誌上での特集号「ルネサンスにおける汎神論と汎心論」に寄稿したもので、もともとは特集号のもとになったチェコでの国際会議のためにオンラインで発表したものです。
「ルネサンス期の世界霊魂」論文で触れたブルーノの議論について、そのソースのひとつであるアゴスティーノ・ステウコの分析からはじめて、シェキウスが展開した独特なアナクサゴラス解釈が関与しているのではないかと提起する内容となっています。
ここだけの話、審査員のひとりは、ブルーノ研究に新しい可能性を提示するものだとして「べた褒め」だったのですが、もうひとりの審査員は「激高」して、長文の審査評を書いてきました。
ブルーノ研究の専門家ではなく、ルネサンス医学と自然哲学の専門家の僕が、ブルーノが読んだかも知れないテクスト群をもとに、彼の考えの直前に出ていた当時の議論を整理して、大胆な作業仮説のもとに提示する論証に、条件反射的に過剰な反応を起こしたのか知れません。
しかし「これからご自身が書くことになっている著作」で展開する議論をもとに、理想の書き方ではないといわれても、「反論のしようもないですよ」と雑誌の編集長に伝えたら、「時間の無駄だから相手にしなくて良い」とあっさりと審査を通してもらえました。
たしかに揺るぎない証拠を発見して提示するものではなく、「こういう考えもあるけれど、どうですか」、「誰かこの路線で探究を進めませんか」と、十分な材料をもとに示唆する論考なので、論争を呼ぶのは望むところではあります。
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