ヒント:楽天モバイルは黒字化するための目標値に対して、契約回線数を順調に伸ばしていますが、ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)は、目標値に対して大きく乖離があります。
2024年8月9日に楽天グループの決算があり、楽天モバイルの業績も発表されました。
楽天モバイルといえば、自社基地局設置などのネットワーク整備への先行投資が大きく、楽天グループ全体でも赤字になるなど投資コストの大きさで注目を集めています。
一方で、FY2024 Q2(2024年4月〜6月)の楽天グループの赤字は▲118億円と前年同期比で276億円の赤字幅を縮小しています。同時に、同期間の楽天モバイルのマーケティング前キャッシュフローでは、51.4億円と黒字化を実現しました(後ほど詳細を見ていきます)。
今回は、楽天モバイルで目標として掲げられている「2024年中の月次EBITDA(営業利益と減価償却費の合計)黒字化」に着目し、実現の可能性を見ていきます。
今回の記事では、前半は楽天モバイルの契約回線数について解説し、記事の後半では楽天モバイルの業績や重要KPIを深掘りした上で、2024年中の月次EBITDA黒字化実現の可能性を考察していきます。
楽天モバイルの契約回線数が770万回線突破!
上図は、楽天モバイルの契約回線数の推移です。
楽天モバイルの契約回線数は、2024年8月7日に770万回線を突破しました。
直近の契約回線数を見てみると、2023年9月23日に500万回線(2度目)、2023年12月28日に600万回線、2024年6月16日に700万回線突破しており、着実に契約回線数を増やしています。
楽天モバイルの契約回線数の増加の背景としては、2023年1月に開始された法人向け携帯キャリアサービスと個人向けの契約回線獲得施策が挙げられます。
特に、個人向けの契約回線獲得施策は、家族で使うと料金が割引される「最強家族プログラム」、22歳以下を対象にポイント還元する「最強青春プログラム」、12歳以下向けにポイントを優遇する「最強こどもプログラム」等を2024年2月〜5月に立て続けに開始しています。
加えて、楽天モバイルは、2024年6月からプラチナバンドの順次展開等の通信品質改善にも取り組んでおり、これらの取り組みが契約回線数の増加に繋がったと考えられます。
ここまでは、楽天モバイルの契約回線数について解説してきました。記事の後半では、楽天モバイルの業績や重要KPIを深掘りした上で、2024年中の月次EBITDA黒字化実現の可能性を考察していきます。
この記事は、新規事業に携わる方や興味がある方はもちろん、事業戦略に関心がある方に最適な内容になっています。
Q. 楽天モバイルの回線数が770万回線突破!2024年中の単月黒字化実現の可能性は?の答え
A. 楽天モバイルの2024年中の単月黒字化実現の可能性は以下の通り。
最新の決算であるFY2024 Q2のデータを元に楽天モバイルの黒字化シナリオを試算すると、以下が考えられる。
(試算1)ARPUが現在の水準である2,021円だった場合:1,006万の契約回線が必要
(試算2)ARPUが2,250円だった場合:903万の契約回線が必要
(試算3)ARPUが2,500円だった場合:813万の契約回線が必要
過去一年間の実績を元に試算すると、2024年末までに836万回線獲得が見込まれるが、ARPUは現在の水準から大きく改善する可能性は低い。そうした場合、楽天モバイルは、販売管理費等をコストコントロールし、月次EBITDAの黒字化するように着地させる可能性が高いと予想できる
まずは、楽天モバイルの業績を見ていきましょう。
楽天モバイルの業績は?
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