ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター（有料版）2024年8月31日（土）号

----------------------------------------------------------------------------------------------------------- はじめに ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 　台風10号（サンサン）は、非常に強い勢力を持ち、九州に上陸した。 　九州や四国、東海など広い範囲で非常に激しい雨が予想される。特に、台風の中心から離れた地域でも大雨になる可能性があるため、厳重な警戒が必要だ。 　台風の動きが遅いため、交通機関への影響が長引く可能性がある。新幹線や飛行機の運航に影響が出る可能性もあるため、最新の交通情報にも注意が必要である。 　台風10号は「寒冷渦」の影響を受けて進路が西寄りに変わり、その動きが遅くなっている。寒冷渦とは、上空に存在する冷たい空気による低気圧の渦巻きで、反時計回りの風が流れる。この風の影響で、台風10号は当初の予想よりも西へ引き寄せられた（1）。 　さらに、台風10号の進路が複雑になっているのは、太平洋高気圧やチベット高気圧の影響も関係している。これらの高気圧が台風の進路を阻む形になり、台風は進路を決めることが難しくなった。また、偏西風の影響を受けられず、進路が定まらない要因ともなっている（2）。 　今後、台風10号は四国に接近し、暴風や大雨の影響が長引く可能性がある。台風の進路にある地域では、強い風や大雨に対する警戒が必要だ。 （1） NHK　首都圏ナビ「台風10号2024なぜ西寄りに 進路予想 難しい理由は 影響長引く可能性も」2024年8月27日、https://www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/010/80/ （2） 愛媛新聞「台風10号　寒冷渦の影響で西廻り　北陸最接近は週末　偏西風に乗れず北寄りの暴風も」2024年8月26日、https://www.ehime-np.co.jp/article/tenkijp24781 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- いつまで続く？　炎天下の高校野球　「高校野球利権」、深刻　まやかしの文武両道　「野球漬け」でよいのか？ ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- 　夏の甲子園、第106回全国高校野球選手権大会が、7日から23日まで兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催された。大会には全国から49校が出場し、北海道と東京はそれぞれ北と南、東と西の2校が代表として参加した。 　例年同様に酷暑が続く中での開催となり、選手や観客の健康を守るためにさまざまな対策が講じられた。 　特に、試合中の熱中症対策として「クーリングタイム」が導入され、5回終了時に10分間の休憩が設けられる。この間、選手たちは水分補給や体温の冷却を行った。 　開幕からの3日間は、気温が上がりやすい昼間の試合を避け、午前と夕方に試合を行う「2部制」が初めて導入された。 　これにより、選手たちは比較的涼しい時間帯に試合を行うことができ、選手からも「涼しくて投げやすかった」との声が上がっている（1）。 　 　一方で、甲子園への応援団は「2024年問題」に直面している。バスの運転手の休憩時間確保のために直行できず、乗り継ぎが必要になることや移動費の高騰が問題となっている。 　これにより、学校関係者は応援の機会を維持するために費用捻出に苦労したという（2）。 　なお、日本の学生スポーツでは学業とスポーツの両立（文武両道）が求められることが多い。しかしアメリカの高校野球では文武両道どころか、練習時間が日本よりも短いことが一般的だ。 目次 ・高校野球利権、深刻 ・岐路に立つ炎天下での野球　プロ野球2軍でも　MLBでも ・まやかしの文武両道　「野球漬け」でよいのか？ ・高校野球利権、深刻 　さまざまな問題をはらみながらも、日本の高校野球が存続させられている背景には「高校野球利権」があるからだ。 　高校野球、特に甲子園大会は、公益財団法人日本高等学校野球連盟（高野連）と朝日新聞社、毎日新聞社が主催し、高野連は、入場料や記念品販売などから多額の収益を得ている。 　例えば、2018年には入場料収益が10億円を超えたが、これらは公益目的事業と認定されているため法人税が課されていない（3）。