ヒント:SMBCの競合であるMUFG、みずほ傘下の企業の動向が参考となります。
マネーフォワードは、三井住友フィナンシャルグループ(以降、SMBC)の三井住友カード(以降、SMCC)と共同出資で新会社の設立を含む、個人向け事業における資本業務提携の基本合意書を締結したと2024年7月17日に発表しました。
SMBCは、個人向け総合金融サービスであるOliveのサービスを2023年3月から提供開始し、わずか1年5ヶ月でOliveアカウント数は300万口座を超え、非常に勢いのあるサービスとなっています。
その一方で、競合である楽天経済圏と比べると、楽天銀行の口座数は1,520万口座と多く、Oliveの口座開設数は劣位となっています。このような状態で今回のマネーフォワードとSMCCが資本業務提携に関する基本合意書を締結したと発表がありました。
今回の記事では、前半にマネーフォワードとSMCCによる資本業務提携によって新設される合弁会社の概要を解説し、記事の後半では、資本業務提携のスキームやSMBCの個人顧客向けサービスの事業戦略を深掘りした上で、SMCCが資本業務提携の基本合意書を締結した狙いに迫っていきます。
マネーフォワードとSMCCが合弁会社の設立を合意
上図は、マネーフォワードとSMCCによって新設される合弁会社の概要です。
今回新設される合弁会社は、国内最大の個人の金融資産管理・家計管理をサポートする「マネーフォワード ME」にSMBCの金融サービス(Olive、Vポイント等)を組み合わせ、「個人向け領域におけるパーソナライズされた金融サービスを提供すること」を目的に新設されます。
新たに設立される合弁会社の会長はSMCCの代表取締役社長である大西氏、社長はマネーフォワードのCEOである辻氏が務める体制で、2024年12月から事業開始を予定しています。
マネーフォワードとしては、社名の由来にもなった祖業を新会社に事業譲渡する形となるため、非常に大きな決断であると言えるでしょう。
ここまでは、マネーフォワードとSMCCによる資本業務提携によって新設される合弁会社の概要を解説してきました。記事の後半では、資本業務提携のスキームやSMBCの個人顧客向けサービスの事業戦略を深掘りした上で、SMCCが資本業務提携の基本合意書を締結した狙いに迫っていきます。
この記事は、新規事業に携わる方や興味がある方はもちろん、事業戦略に関心がある方に最適な内容になっています。
Q. マネーフォワードと資本業務提携に関する基本合意書を締結したSMCCの狙いとは?の答え
A. マネーフォワードと資本業務提携に関する基本合意書を締結したSMCCの狙いは以下の通り。
今回の資本業務提携に関する基本合意書の締結は、個人向け総合金融サービスのOliveのサービスや経済圏を拡大する狙いがある。またSMBCと共同で次のようなサービスを提供していく可能性もある。
(1)Oliveアカウント開設者に「マネーフォワード ME」のサービス提供
(2)「マネーフォワード ME」の顧客基盤を元にした金融サービスの提供
(3)個人の家計情報を元にした金融商品の提供
まずは、マネーフォワードとSMCCの資本業務提携のスキームを見ていきましょう。
マネーフォワードとSMCCの資本業務提携のスキーム
上図は、資本業務提携にあたって合意されたスキームをまとめたものです。
スキームの詳細は、以下となります。
(1)マネーフォワードが51%、SMCCが49%出資し、新設子会社(合弁会社)を創設する。マネーフォワードのHOMEドメイン(PFM(家計簿・資産管理) サービス)は、新設された子会社に事業譲渡
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