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vol.240:AI時代にいちばん不足するのは電力。中国はどうやって電力を増やそうとしているのか。「東数西算」工程とは

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2024/08/05
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 240 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、中国の電力政策についてご紹介します。 本格的なAI時代を迎えるにあたって、いちばん足りないものは電力です。国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、2026年にはIT、AIに消費される電力は2022年の2倍の約8000億kWhになります。これは、日本全体の年間総発電量とほぼ同じです。世界で、日本ひとつ分の電力がITとAIに消費されるようになるのです。 そのため、どの国も、発電量を増やすことが急務になっています。 一方で、2030年にはパリ協定で定めたCO2の排出削減を達成し、2050年または2060年にはCO2をまったく排出しないカーボンニュートラルを達成しなければなりません。そのため、増やせる電力は太陽光や風力の再生可能エネルギー、水力、原子力に限られます。火力発電は減らさなければならないのです。 中国は、太陽光の出力が変動するという問題、原子力の出力暴走事故が起きるという問題を解決し、太陽光と原子力を急速に増やし始めています。これにより、石炭火力から排出されるCO2は、2023年にピークとなり、2024年以降は減少していく見込みが立っています。 また、電力送電の負担を減らすために、電力の地産地消とも言える「東数西算」工程を進めています。これは、主に西部で発電される電力を、西部に大規模なデータセンター群を建設することにより、西部で消費してしまおうという試みです。大都市の多い東部では、ネット回線を通じて、西部にあるデータセンターを利用します。 今回は、このようなAI時代に向けて、中国が採っている電力政策についてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 240 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ AI時代にいちばん不足するのは電力。中国はどうやって電力を増やそうとしているのか。「東数西算」工程とは。 小米物語その159 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ AI時代にいちばん不足するのは電力。 中国はどうやって電力を増やそうとしているのか。「東数西算」工程とは。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、中国の電力政策についてご紹介します。 時代の進む速さはほんとうに早いものです。OpenAIが対話型AI「ChatGPT」を発表したのは2022年11月で、まだ2年経っていません。しかし、対話型AIはもはや使わない日はないぐらい、仕事をする上で重要なツールになっています。 企業にお勤めの方は、対話型AIに企業情報を載せることによるセキュリティ問題がまだ完全に評価し切れてなく、使用が制限されていることもあるかと思いますが、この問題が解決をすれば、業務で最も頻繁に使うツールになることは間違いありません。 その一方で、グーグル検索をする機会がめっきりと減りました。グーグル検索をして検索結果に表示されたウェブを頭から読んでいくという原始的な方法はもはや過去のものになり、対話型AIに尋ねて信頼できるウェブを探してもらうという方法に変わったという方が多いのではないでしょうか。 さらに、書類作成にも力を発揮してくれます。特に、議事録、日報、業界動向の概略資料など、中身の質よりも書類が存在することに重きが置かれているものは、ほとんど対話型AIによる生成で間に合います。要は業務の中で、必要だけど生産性があるとは思えない仕事はほぼ対話型AIに代行してもらえるようになりました。人間は、内容に意味がある情報を、対話型AIの助けを借りながら生産していくことに集中できます。 コーディングやブレーンストーミング、デザインという高度な知的作業に生成AIを利用することに焦点があたりがちで、それはそれで重要ですが、現実には高度ではない知的作業をAIが代行してくれ自動化できるということの方が、社会にとっては大きなインパクトがあるように思います。Excelが普及をして、そろばんや電卓を使わなくなったのと同じことが起こります。 対話型AIや生成AIが普及をし、業務でも生活でも使われていることは素晴らしいことですが、私たちはこのAI時代に考えておかなければならない問題があります。それは電力が足らなくなることです。 対話型AIの使用に必要な電力は莫大なものになります。国際エネルギー機関(IEA)のレポート「Electricity 2024」(https://iea.blob.core.windows.net/assets/6b2fd954-2017-408e-bf08-952fdd62118a/Electricity2024-Analysisandforecastto2026.pdf)によると、これまでのグーグル検索は1回使うごとに平均して0.3Whが必要でした。しかし、ChatGPTを1回利用するには2.9Whの電力を消費します。約10倍になったわけです。それでも一般的な電球が60Whであることを考えると、大した電力ではないように見えます。 しかし、問題は使用回数です。ChatGPTは1日に90億回のアクセスがあります。つまり、1日で2.9Wh×90億回=261億Wh=2610万kWhが必要になります。年間にすると、95.65億kWhになります。日本全体の年間発電量は8600億kWh前後なので、日本の発電量の1%以上をChatGPTの利用のために使っていることになります。

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