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ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)2024年7月13日(土)号

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
----------------------------------------------------------------------------------------------------------- はじめに ----------------------------------------------------------------------------------------------------------  7月10日、広島高裁は、手術を受けていないトランスジェンダー女性の性別変更を認める判決を下した。この判決は、性別変更のために手術が必須とされていた現行法に対する大きな挑戦となる。  広島高裁は、ホルモン療法を受けて女性として認識されるトランスジェンダー女性について、手術なしでの性別変更を認めた。今回、裁判所は、性同一性障害特例法の「外観要件」を満たしていると判断した(1)。  2004年に施行された性同一性障害特例法では、性別変更のために生殖腺を欠く、またはその機能を永続的に失う状態にあること(生殖不能要件)、そして変更後の性別の性器に似た外観を備えていること(外観要件)の要件を満たす必要があった。  そしてこれらの要件を満たすためには、通常、手術が必要とされている。しかしながら、2023年10月の最高裁判所の判決により、生殖不能要件は憲法違反とされ、無効となった(2)。  広島高裁は今回、外観要件についても「手術が常に必要だと解釈すれば、当事者に過剰な制約を課すものとして違憲の疑いがある」と指摘。ホルモン療法によって性器の形状が変わることが医学的に確認されているため、「他者が特段の疑問を感じないような状態であればそれで足りる」との解釈を示した。 (1) 宮本翔平「手術なしでの性別変更認める 外観要件満たしていると判断 高裁」毎日新聞、2024年7月10日、https://mainichi.jp/articles/20240710/k00/00m/040/284000c (2) NHK NEWS WEB「性別変更の手術要件めぐり 特例法の規定は憲法違反 最高裁」2024年10月25日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231025/k10014236581000.html ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 相次ぐ鹿児島県警の不祥事が映し出す、日本社会の闇 公益通報保護制度、認められず 記者クラブ制度の問題も ----------------------------------------------------------------------------------------------------------  鹿児島県警は、今年に入り複数の不祥事が相次いで発覚している。  4月、鹿児島県警の警部が知人女性に対して不同意わいせつ行為を行ったとして逮捕される(1)。  また元生活安全部長が内部文書をライターに漏らしたとし、国家公務員法の守秘義務違反で逮捕・起訴された。この事件に関連して、現職の警察官や元幹部が逮捕される事態が続く。  一方、鹿児島県警の情報漏えい事件に関連して、ニュースサイト「ハンター」への捜索が行われた。  捜索は、鹿児島県医師会職員(当時)の男性A氏による強制性交疑惑に関連する別事件の捜査名目で行われたが、この捜索に対しては、多くのメディアが取材機関への強制捜査を批判。  捜索の真の目的が、県警の内部情報漏えいの捜査である可能性が指摘されている(2)。 目次 ・公益通報保護制度、認められず ・警察の不祥事体質を生むもの ・メディアの責任 記者クラブ制度の問題 ・公益通報保護制度、認められず  一方、元鹿児島県警の本田尚志氏(60歳)は、警察内部の腐敗を暴露するために内部文書を記者に漏らしたとして逮捕。 本田氏は、警察署長が警察官の犯罪行為を隠蔽しようとしたことに対する強い危機感から情報を漏えいしたと述べる。  鹿児島県警では、不同意わいせつ事件や盗撮事件など、他にも複数の不祥事が発覚。これらの事件に対する警察の対応が不十分であったことが問題視されている。  他方、本田氏の行動は、公益通報保護法の観点から見ても重要な示唆を映す。彼は警察内部の腐敗を暴露するために情報を漏えいし、その結果として逮捕されたが、彼の行動は公益通報として認められるべきだという意見も。  日本の公益通報保護制度は、公益通報者が解雇や不利益な取り扱いを受けないように保護するための法律。  この制度は、企業や行政機関が取るべき措置を定め、通報者の権利を守ることを目的としている。

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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