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中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話
2024.06.10【Vol.489】
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■目次
┣1.うさぎ的日常日記
┣2.女王様のご生還
┣3.うさぎの図書館(ネタバレ上等)
┣4.コスプレ老婆
┣5.動く中村うさぎ
┣6.著作一覧
┗7.運営事務局から一言
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── 1.うさぎ的日常日記 ──
こちらのコーナーはうさぎさんがご多忙な為、明日以降の配信となります。
誠に申し訳ございません。
── 2.女王様のご生還 ──
◆虚言少年 6
半年間の引きこもり生活の後、ようやく大学にも行くようになったが、相変わらず友達と呼べるような相手はいなかった。
ひとりで授業に出て、ひとりで飯を食い、ひとりで帰宅する。
誰とも口をきかない日も珍しくなかった。
だからこそ、2丁目での交友関係は、僕にとってますます重要なものになっていった。
そこではゲイを隠してビクビクする必要もない。
思う存分、言いたいことを言えた。
大学でじっと身を潜めている僕の姿は偽物で、2丁目でオネェ全開の僕が本物。
最初はずっとそんなふうに思っていたのだが、よくよく考えてみると、2丁目の僕の方が嘘まみれなのだった。
少なくとも大学の僕は、ひと言も口をきかない代わりに、ぺらぺらと嘘を並べることもしない。
ということは、本当の僕なんて、どこにもいないってことじゃないか!
おそらく「本当の僕」とは、大学の僕でも2丁目の僕でもなく、ゴミだらけのワンルームで悶々としている僕なんだろう。
満たされない欲望や叶うことのない夢を抱えて、ひたすら自分を哀れんでいるだけの惨めな僕。
だが、その事実を受け容れるのは、あまりにも辛い。
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