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相次ぐ車の「型式指定」の手続きをめぐる認証不正にみる、日本の製造業の”ガラパゴス” 車の認証制度、国連基準があるのに
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日本のお家芸である自動車産業が、”揺らいでいる”らしい。
国土交通省は、3日、トヨタ自動車など5社で、車の大量生産に必要な「型式指定」の手続きをめぐる認証不正があったと明らかに。
今回、不正が認められたのは、現行生産車で計6種、生産終了車で計32種。国交省は4日、道路運送車両法に基づき、トヨタ本社を立ち入り検査。ほかの4社についても、順次実施する。
不正があったのは、トヨタのほか、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの4社。
日本の自動車業界では、2016年4月に発覚した三菱自動車の軽自動車の燃費性能偽装問題を皮切りに、日産自動車(2017年9月)、スバル(同年10月)、スズキ、マツダ、ヤマハ発動機(18年8月)、日野自動車(22年3月)、豊田自動織機(23年3月)、ダイハツ(同年12月)と不正が相次いでいる。
そのなかでも、昨年12月にはダイハツの車両認証試験174件の不正など「認証不正」の問題は大きく報じられた。
「ブルータスお前もか」(トヨタお前もか)と言いたところだが、実はそこには日本の自動車産業特有の悪しき習慣が隠されていた。そして、それに日本の自動車産業の”ガラケー”ななぬ”ガラカー”ぶりを浮き彫りにする。
目次
・「型式指定」の制度とは
・日本の製造業のガラパゴス、顕在化
・車の認証制度 国連基準があるのに 虚構の日本の製造業の”凄さ”
・「型式指定」の制度とは
今回問題となった認証制度とは、大量生産される車の安全性を確保することなどを目的に、道路運送車両法で定められた国の仕組みであり、「型式指定」という。
そもそも、車の販売時に1台ずつ国の検査を受けると大変な時間がかかる。そこで、メーカーが車種やエンジンごとにサンプルを用い、ブレーキや燃費の性能などを確かめる検査を行い、そのデータを国に提出する。
審査に合格すれば、型式指定を受けられ、同じ型式のものは1台ずつ検査しなくてもよくなる(1)。
今回、メーカーは指定を受けるときに虚偽の申告をしていた。
2022年には初めて、型式指定の不正による取り消し処分があった。日野自動車はエンジンの排ガスや燃費の性能を偽装していた問題で、トラック、バス用のエンジンで、型式指定が取り消される。
今年1月には、ダイハツのトラックタイプの商用車3車種も取り消された。エアバッグの衝突試験で、タイマーを仕込んで作動させる不正な加工をしていた。豊田自動織機でも3月、産業機械用エンジンが取り消しに。
取り消されると、今後、メーカーは大量生産ができなくなり、出荷の停止に。しかし、すぐに車に乗れなくなるというわけではない(2)。
・日本の製造業のガラパゴス、顕在化
ここ10年、自動車メーカーのみならず、神戸製鋼や東レの子会社、三菱マテリアル子会社など日本を代表する素材メーカーで製品検査データによる改ざんが発覚した。問題の構造は、日本の製造業の”ガラパゴス”の表れだ。
従来、日本の企業文化には顧客が要求した品質は満たしていないが不良品とまではいえない製品については、特採(特別採用)として一時的に出荷を容認する慣習があった。
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