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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 227
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、小米の創業者、雷軍氏のプレゼン術についてご紹介します。
小米初のEV「SU7」が絶好調です。予定台数の5万台は、発売後27分で完売。年間生産台数は10万台の計画でしたが、急遽12万台に引き上げる作業に入っているようです。
2011年の小米1の発売時も、発売後すぐに完売をし、消費者はなかなか商品が買えない、届かないという不満を持つようになりましたが、それと似た状況が起きようとしています。小米汽車は、自動車製造では何の実績もありません。つまり、自動車の品質としては海のものとも山のものともつかないのです。それが完売するということは、多くの消費者が小米という企業を信頼しているということになります。
このような発売即完売が起こるのは、創業者の雷軍氏のプロモーション術、プレゼン術による貢献が小さくありません。雷軍氏は、SNSを通じて自分の実像を消費者に伝え、機械を捉えて消費者と対話をします。プロダクトに関する情報も早くから伝え、製品発表時には多くの人が購入の意思を固めているのです。製品発表時にはもう勝負はついている、そういう状況に持ち込むのが雷軍氏のプロモーション術です。
プレゼンでは、アンカリングを多用します。アンカリングとは、先に高い商品を見せておいてから、お買い頃の商品を見せると、実際以上にお得に感じてしまう心理です。小米1ではiPhone4の比較を行ってから価格を発表しました。SU7ではテスラモデル3との比較を行ってから価格を発表しました。これにより、聴衆は実際以上にSU7のコストパフォーマンスがいいように感じたのです。
今回は、このような雷軍氏のプレゼン術、プロモーション術についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 227
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▼目次▼
発売後27分で完売をした小米初のEV「SU7」。創業者、雷軍のしたたかなプレゼン術
小米物語その146
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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発売後27分で完売をした小米初のEV「SU7」。
創業者、雷軍のしたたかなプレゼン術
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今回は、小米(シャオミ)の雷軍CEOのプレゼン術についてご紹介します。
3月30日から予約受付が開始された小米のEV「SU7」の売れ行きが絶好調です。予約開始後わずか27分で予定台数の5万台が完売となりました。まるでスマートフォンのような売れ方です。
ただし、ネガティブな報道もあります。小米は予約方法を従来手法とは変えました。一般的なネット予約では予約をすると、原則キャンセルすることはできません。キャンセルをした場合は、予約手付金が戻ってこないのが一般的です。しかし、小米では7日間はキャンセルを受け付け、手付金の返金もするというスタイルにしました。このことから、とりあえず予約をして後で考えるという人、または予約の権利を転売することを考えている人も参加をして、予約が殺到したという見方もあります。
すでに一部で納車が始まっていて、SNSにはSU7のオーナーからさまざまな投稿がされるようになりました。中には、ハンドルについているロゴが剥がれ落ちてきたと訴えている人もいました。しかし、今のところ、大きな問題は報告されていないようです。自動車メディアも最も一般的な評価は「初めての車にしては驚くべき完成度」というもので、細かい問題はいろいろあるものの、まずは合格点+αは与えられるというところではないでしょうか。
なぜ、小米という非自動車メーカーがつくった自動車がここまで話題となったのでしょうか。それにはさまざまな理由がありますが、大きく貢献をしたのが、雷軍CEOのプレゼン術です。
雷軍氏と言えば、2011年の小米1の発売の時は、「中国のスティーブ・ジョブズのそっくりさん」として話題になりました。当時の日本では「中国は日本の技術をパクったニセモノしかつくれない」という感覚でしたから、雷軍氏もスティーブ・ジョブズのパチもんと見られたのです。
雷軍氏が、ジョブズ氏のプレゼン術を徹底研究したのは確かです。しかし、当時は、雷軍氏だけでなく、世界中の人がジョブズ氏のプレゼンスタイルを研究しました。ジョブズ氏が世界を変えたことはいくつもありますが、プレゼンのスタイルを変えたこともそのひとつです。ジョブズ氏以前は、ステージの端に演台があり、そこに原稿を置いて、それを読み上げるというのが一般的なプレゼンスタイルでした。しかし、ジョブズ氏は、ステージの中央に立って、原稿ではなく、自分の言葉で語りかけていきます。もちろん、原稿は用意されているのですが、それを読んでいるのではなく、語っていくように進めていきます。そのスタイルには誰もが雷に打たれたかのように模倣し始めました。現在では、このスタイルが標準になっています。
雷軍氏はジョブズのプレゼン術を真似ただけではありません。そこから出発をして、独特のプレゼンスタイルを確立しています。最大の特徴は、製品発表会の前から雷軍氏のプレゼン、プロモーションは始まっているということです。あるいは開発プロセスそのものをエンターテイメントにしていると言ってもかまいません。開発の最中から情報発信をし、そのプロセスを知ることになります。最終的に製品が発売されると、それまでの物語を知っている人は買いたくなってしまうのです。お金のやり取りはありませんが、クラウドファンディングに近い味わいがあります。
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