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第306号:「敵対的ではなかった進化」

田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『 田中優の未来レポート 』 第306号/2024.4.30 http://www.mag2.com/m/0001363131.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「敵対的ではなかった進化」 有料だがさすがにNHKのドキュメンタリーは良く調べていて面白い。 今回観たのは「超進化論」というもので、「ダーウィンの進化論」を越えていく趣旨のドキュメンタリーだった。それを観たいと思ったのは、「ダーウィンの進化論」には動物の進化に敵対的な考え方が多すぎて、進化に多い「共生」的な進化が無視されているように思っていたからだ。 まさにその視座からの「超進化論」だったから、我が意を得たりというドキュメンタリーだった。 その最初は植物が鋭敏に感覚を持っていて、そこから化学物質を発して反応しているという話であり、「無反応で鈍感なものではない」という話だった。その化学物質を用いて食害する相手に対して妨げたり、さらにはその食害する虫の天敵となる昆虫を呼び寄せたりするという話だ。これは昆虫に対してだけではなく、食害する動物に対しての化学物質であったりして、その敵が誰なのかをわかっていての反応と思われるものになっている。 これはずいぶん前に本で読んでいた話と一致する。その話とはカンガルーの保護をしようとしたオーストラリアでの話だ。あるとき、カンガルーを保護するためにエリアを仕切って、他の動物が入れないようにしたのだ。そうすることによってカンガルーを保護できるはずだった。 イメージ ところが現実に起きたのは、カンガルーの飢餓だった。かつて「カバ園長」の本をよく読んでいたのでそこで読んだのかもしれないが、よく覚えていない。そのカンガルーの飢餓の原因は、まさに人が保護のために作った保護エリアのせいで起きていた。カンガルーは広い範囲の植物から、こっちを少し食べては遠くに移動し、また遠くで食べては遠くに行きと、食べる場所を変えていた。なぜそうするかと言えば、食害された植物は、正しく相手を認識し、カンガルーに対して害になるような化学物質を作り出して、それ以上食べられないように防御していたのだ。しかし「カンガルーを保護する」と考えてエリアを区切ってしまったため、カンガルーの食べる範囲が限られて、カンガルーが食べられない化学物質を出す森ばかりになり、結果カンガルーは飢餓状態に陥れられたのだ。カンガルーはもっと広い範囲で、こっちを食べると遠くの場所に移り、また少しだけ食べると遠くに移って食べるというようにしなければいけなかったのだ。ところが人間の考えが十分でなかったために飢餓に陥れされてしまったのだ。 それを考えると今動物園で暮らしている動物たちには、虐待に近いような待遇を受けているのかもしれないと心配になる。植物は食害されないために有害な化学物質を出すことがあるので、動物園に与えられている植物は食害されないためにとても不味い化学物質を出し、飢餓寸前の状態に追い込まれているのかもしれないのだ。特に心配になるのは偏食の激しいパンダだとか、もとより有害な成分を中和して食べているコアラなど、植物のリベンジに脆弱なものであるかもしれない。 それとは逆に植物の陸上進出や動物の陸上進出には、微生物の進化発展が欠かせなかった。今も微生物の恩恵が欠かせない。微生物とも呼べない小ささのウィルスの進化がなければ私たちの「胎生」も成り立たなかったし、免疫のこれほどの進化もなかっただろう。こうして見ると生物の進化はつながっていて、連綿とつながる生命のつながりに見える。それを敵対的に「適者生存」とか「弱肉強食」だとかいうのは間違っているように見える。むしろ生命全体の中の有機的つながりのように見える。

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  • 環境活動家、田中優(たなかゆう)の有料・活動支援版メルマガです。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などのさまざまなNGO活動に関わり、日本で初めてのNPOバンクを作りました。経験と知識と綿密なデータを基に、独自の視点で生み出した社会の新しい仕組みづくりのヒントや国内外を取材したお話をご紹介します。頂いた購読料の一部を、次の社会を作るための活動資金にさせて頂きます。 ★まぐまぐ大賞2017 専門情報部門にて【第1位】 ★まぐまぐ大賞2018 専門情報部門にて【第2位】 ★まぐまぐ大賞2019 専門情報部門にて【第3位】 を頂きました!
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