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「狂犬病」、再び注目 低下する予防接種 海外では犬以外の動物にも要注意
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昨今、狂犬病についてのニュースが注目を集めている。
2月7日、群馬県伊勢崎氏で小学生を含む12人に噛みついて怪我をさせた犬について、飼い主が法律で義務付けられている狂犬病の予防接種を受けさせていなかったことが判明。
同月7日、伊勢崎市内の住宅で買われた四国犬が逃げ出し、公園の近くにいた小学生などに次々に噛みつき、小学生9人を含む12人が怪我をする。
そして、この犬について飼い主が法律で義務づけられた狂犬病予防の自治体への登録をせずに、年に1回の予防接種も受けさせていなかったことが判明。
飼い主はまた、合わせて7頭の四国犬を飼っていたものの、このうち狂犬病予防の登録をしていたのは3頭だけであり、その3頭も9年前から予防接種を受けた記録がなかったとのこと。
このため市は8日、飼い主に対し、狂犬病予防法に基づき、行政指導を行った。
犬の飼い主は狂犬病予防法に基づき、住んでいる市区町村に対し、飼っている犬を登録して、毎年1回、狂犬病の予防注射をすることが義務付けられている。
しかし厚生労働省によると、予防注射の間隔が半年に1回から1年に変わった1985年以降、全国の注射率はほぼ100%で推移していたもの、1996年ごろから減少傾向となり、2000年度以降は80%を下回り、最新に2022年度の統計では、接種率は70.9%にとどまっていた。
目次
・狂犬病とは
・予防接種
・海外では犬以外の動物にも要注意
・狂犬病とは
狂犬病は致死率がほぼ100%で、世界で最も致死率が高い感染症の一つであり、ギネス記録にも認定されている(1)。この病気は毎年世界中で5万から6万人の命を奪っている(2)。
感染の大半は狂犬病に感染した犬に咬まれることによって起こるが、猫やコウモリ、キツネなどの野生動物からも感染することも。
日本は「狂犬病清浄地域」とされ、狂犬病がほぼ存在しないまれな地域の一つ。これには日本の他にアイスランド、オーストラリア、グアム、ニュージーランド、ハワイ、フィジー諸島が当てはまる(3)。
1950年以前は日本でも狂犬病で亡くなる人が多かったが、1957年に狂犬病予防法が施行され、ペットの犬の登録やワクチン接種が義務付けられたおかげで狂犬病が撲滅。
それでも、1970年、2006年、そして2020年には、全て海外で犬に咬まれた後に日本で発症し死亡したケースがあった(4)。
・予防接種
狂犬病予防法では、犬の飼い主は必ず犬を市町村に登録し、毎年狂犬病の予防接種を受けさせる義務がある。この義務を怠ると、最大20万円の罰金が科せられる。ただし、近年この接種率は減少。
なお世界保健機関(WHO)は、狂犬病の拡散を防ぐために接種率を70%以上に保つことが重要だと指摘。
岐阜大学の伊藤直人教授はNHKの取材に対し、接種率低下の要因は、狂犬病の恐ろしさが人々に十分伝わっていないことが背景にあると分析(5)。また、室内飼いの犬が増えたことで、飼い主が予防接種を怠る傾向もあるという。
1985年に接種間隔が半年から年1回に変更されて以降、接種率はほぼ100%を保っていたが、1996年から減少を始め、2000年度には80%を下回る。
2022年度は、全国の市区町村に登録されている犬606万7716頭に対し、予防接種を受けたのは429万9587頭で、接種率は70.9%にとどまった(6)。
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