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劇症型溶血性レンサ球菌感染症増加、海外では小児が感染するA群溶血性レンサ球菌(GAS)感染症も 注意すべきこと
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「溶血性レンサ球菌(通称:溶連菌)が原因により、手足の急速な壊死や多臓器不全を引き起こす「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が、過去最多だった昨年を上回るペースで増加している。
溶連菌は通常、急性咽頭炎などを引き起こす細菌であるが、まれに重篤な状態である劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)をもたらすことも。
この病気は急速な壊死や多臓器不全を引き起こす可能性があり、ときに「人食いバクテリア」とも呼ばれ、致死率は30~70%と非常に高い。
昨年、STSSの患者数は過去最高を記録。今年もその数は増加傾向にあり、3月24日までの報告では、556人が報告されており、そのペースは昨年一年間の患者数941人の半数を超えた。
新型コロナウイルスの対策が緩和された2022年以降、世界各地で溶連菌による咽頭炎やSTSSの患者数が増加(1)。
この増加は、他の呼吸器感染症の増加に伴い、溶連菌咽頭炎の患者も増えていることが影響しているかもしれないが、ただし、患者数が増加している具体的な理由はまだ完全には明らかとはなっていない。
目次
・劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
・海外の状況
・注意すべきこと
・劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は突発的に発症し、急速に多臓器不全に進行するβ溶血を示すレンサ球菌による敗血症性ショック病態のこと。メデイアなどで「人食いバクテリア」といった病名で報道される。
1987年にアメリカで最初に報告され、その後、ヨーロッパやアジアからも報告。日本における最初の典型的な症例は1992年に報告されており、毎年100~200人の患者が確認されている 。
主な病原体はA群溶血性レンサ球菌である。A群溶血性レンサ球菌感染による一般的な疾患は咽頭炎であり、その多くは小児が罹患。
一方、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は子どもから大人まで広範囲の年齢層に発症するが、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの特徴とのこと 。
初期症状は、発熱や悪寒といった風邪のような症状のほか、手足(四肢)の痛み(疼痛)や腫れ(腫脹=しゅちょう)、傷の周りが赤くなる、血圧低下などがある。
治療では、抗菌剤や、壊死した部分の切除による感染拡大防止が行われる 。重症化のリスクを下げるには、早めに治療を始めるのが重要。
・海外の状況
感染の拡大は海外でも。
2022年12月8日現在、WHO欧州事務局管轄地域の少なくとも5つの加盟国から、侵襲性A群溶血性レンサ球菌(iGAS)感染症、および猩紅熱の患者数の増加をWHOに報告。
また、これらの国の一部では、侵襲性A群溶血性レンサ球菌関連死の増加。10歳未満の小児が最も多く罹患している(2)。
A群溶血性レンサ球菌(GAS)感染症は、一般的に扁桃炎、咽頭炎、膿痂疹、蜂巣織炎 、猩紅熱などの軽症の疾患の原因となる。
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