【第77号】大川原 明の「アキーラ海外見聞録」5月25日発行!世界に数多くある未承認の独立国家
◆どういった国があるのか?
国の構成要素として「領土・国民・主権」が必要です。あとは国際的に国家であると承認されなければ、その国は独立を果たしたとは言えないでしょう。世界には「領土・国民・主権」の条件を満たしているにもかかわらず、完全に独立を果たすことが出来ていない「未承認国家」がいくつもあります。
未承認国家になる理由として世界の多くの国々が独立を認めていない状態にある事です。国家を承認してもらうには、世界の大多数の国々に国家承認を賛成してもらい、国連に加盟する事です。
世界には国連加盟の独立国家が一九三か国あります。国連非加盟の独立国や時事上独立状態にあるものの、国際的に未承認の国々をいれれば二百か国を超えます。旧ソビエト連邦地域にはロシア系住民が数多くの場所に移住し、一九九一年のソビエト連邦解体時にそのまま残った人々も多いです。ソビエト連邦の構成国だった国々は独立後に居住していたロシア系住民と揉めて紛争になった国々があります。
また、旧ユーゴスラビア構成国も同じくユーゴスラアを主導していたセルビアと周辺諸国の間で独立を巡り紛争状態に。コソボは今でもセルビアやセルビアを支持する国から独立を認められておらず、セルビアの施政権が及ばない事実上独立状態にある国であるものの、世界の半分程が独立を認めていない国連非加盟の未承認の国家になります。
◆ドニエストル共和国
ソビエト連邦時代、ドニエストル川沿いの地域はロシア系住民が多く移住し、ソ連内で有数の工業地帯を形成していました。領土的にはソビエト連邦内モルドバの領土であった地域です。ソビエト連邦が解体された一九九一年にモルドバは独立宣言をして独立を果たしました。
それと同時にモルドバ領内のドニエストル川地域がモルドバからの分離独立宣言をおこない、それに反対したモルドバとの間で紛争が勃発しました。モルドバはルーマニア系の民族でルーマニアとは非常に仲良く、ルーマニアはモルドバを軍事支援して友軍を送りました。
それに対して、ドニエストル共和国側にはロシアや今ロシアと戦争状態にあるウクライナがつきました。結果としてドニエストル共和国側の勝利に終わり、ドニエストル共和国はモルドバから事実上の独立状態になりました。モルドバはドニエストル共和国の独立を認めておらず、国連もドニエストル共和国の独立を認めていない未承認の国家です。
ドニエストル共和国への行き方は複数ありますが、そのうちの一つがモルドバの首都キシナウからバスで行く方法です。著者はキシナウからドニエストル共和国の首都のティラスポリまでバスで訪れました。途中の国境地帯ではドニエストル共和国側への入国審査がありましたが無事に入国。
首都のティラスポリは想像以上に発展しおり、ロシア系の住民が多いのもあり、ロシアに入ったかのような錯覚に陥りました。ティラスポリ中心街を散策するとドニエストル川があり、気温の高い時期では日光浴や川遊びを楽しんでいます。モルドバとの戦争の品々や戦車が展示された戦争博物館やソ連時代に建てられた銅像や建物があり、ソ連の名残を色濃く残していると実感しました。
市内にはロシア兵も多くおり、モルドバとの紛争勃発もしくはウクライナ戦争に備えての軍隊行進がおこなわれていました。
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