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第305号:「オフグリッド元年 ~給電システム付きの車で電気貧乏も怖くない!~」

田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『 田中優の未来レポート 』 第305号/2024.4.15 http://www.mag2.com/m/0001363131.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「オフグリッド元年 〜給電システム付きの車で電気貧乏も怖くない!〜」 未来バンク以外の非営利金融の廃業 未来バンクのような非営利の市民立のバンクの経営が続々廃業している。いくつもの「非営利バンク」が廃業せざるを得なくなっているのだ。 廃業せざるを得なくなっているのは、第一に金融事業を続けていくのに必要な貸金業法の登録料金(3年で15万円)を払って経営していけなくなっているためだ。 未来バンクでは金利は低く(単利固定)、仮に1%で計算すると、単利であるため100万円を一年貸しても金利収入で得られるのは1万円に過ぎない。しかも返済されるたびに融資元本額は減っていく。それによって毎年5万円の登録料を稼ぐとすると、バンクとしては最低その数百倍の融資をしていないと払えない。しかしそれだけでは毎年の総会の費用やその案内を郵送費用を捻出することもできない。すると金利を高くするか、融資額を大きくする以外に解決しようがない。加えてわずかな額だが「貸金業務取扱主任者の登録費用」が3,150円かかるし、任意だが貸金業協会に登録しないといろいろ問題が生じる。 ところが貸金業協会に登録するには、加入金20万円+会社の規模に応じた会費が必要になる。新規(更新)登録申請手数料は、150,000円(3年間)なのでそれもまた別に必要になる。この登録をしていないと「反社会的勢力」に融資してしまう危険性があるので貸金業法に登録するのが困難になる。そのため未来バンクも今回の更新時にクレームをつけられて登録せざるを得なくなった。 単純にこれだけの金額を金利収入だけで稼ぐとなると、毎年10万円の経費のために、1000万円以上の金額を常に融資していないと払えない。そうでないと資金不足になってしまう。しかも金利を含めた返済をきちんと払ってもらっていることが前提だ。 未来バンクと同様に多くの非営利バンクでは、人件費なども取らずに自腹を切って運営せざるを得ないのだ。非営利は営利を目的にしないだけでなく、自腹を切ってリスクを負担しなければならないのだ。 こんなバンクだから廃業せざるを得なくなる、それでも周囲の人々の力で支えようとする仕組みだからと進めてきた。しかしそれぞれの非営利バンクは支えきれずに廃業せざるを得なくなってしまった。 始めた頃は「サラ金問題」に見られたように金利負担が大きすぎて生活破綻せざるを得ない人たちがたくさんいて、返済のために生命保険を掛けて自殺せざるを得ない人たちすらいた。それが規制されていって、さすがに自殺に追い込まれるようなことはなくなっていった。サラ金の金利も規制金利内に収められる様になり、実質的に高金利ではなくなってきた。それに融資対象とされていなかった「非営利の非営利事業」も、「ろうきん」始めさまざまな金融機関の融資対象となっていった。 こうした中で、市民自身が出資して融資まで行う非営利バンクの必要性も減じてきたのだ。そうした中で、最初に作られた「未来バンク」はフロンティアであったために先に出資額を集められた優位性のおかげで生き残ってきたし事業も継続している。 さらには事業を開始してから30年余り、一度の不採算もなく継続してきたこともあり、ついに新たな世代の人たちに事業を継承した。今、未来バンクの事業を進めてくれているメンバーは当初のメンバーではない。事業を継承できたことは私たちにとって何よりうれしいことであると同時に誇らしいことでもある。 しかし生活のための融資は行えなかった。融資は「環境、福祉、市民事業」と呼び習わしていたが、現在はNPO法の対象事業となっている。生活立て直しのための融資は経営が困難で、どこかで公的セクターからの助成なしには成り立たない。そのため未来バンクでも関われなかったのだ。しかしそうした人たちへの融資も今では行われていて、未来バンクからも少しだが出資している。 本当はニッチな範囲であるが、手の届かない領域もある。そうしたところへの融資も、金融機関から手を伸ばし始めている。金融機関も非営利市民団体のすることへの共感が高まってきたおかげかもしれない。かつては「馬鹿げたこと」と無視されていた分野が、「CSD」とか「社会貢献」という名の下に広げられてきたのだ。それはそれでとても良いことだ。少なくとも無視され、変人呼ばわりの対象ではなくなってきたのだから。

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  • 環境活動家、田中優(たなかゆう)の有料・活動支援版メルマガです。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などのさまざまなNGO活動に関わり、日本で初めてのNPOバンクを作りました。経験と知識と綿密なデータを基に、独自の視点で生み出した社会の新しい仕組みづくりのヒントや国内外を取材したお話をご紹介します。頂いた購読料の一部を、次の社会を作るための活動資金にさせて頂きます。 ★まぐまぐ大賞2017 専門情報部門にて【第1位】 ★まぐまぐ大賞2018 専門情報部門にて【第2位】 ★まぐまぐ大賞2019 専門情報部門にて【第3位】 を頂きました!
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