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”職業差別” 静岡・川勝知事、失言で辞職 リニア問題は静岡県だけ? 失言・暴言は川勝知事だけ?
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職業差別と受け止められかねない発言をしたとして批判され、辞職を表明していた静岡県の川勝平太知事(75)が10日午前、県議会の中沢公彦議長に退職届を提出。30日後に自動的に失職する。
川勝氏は新入職員への訓示の中で、
「県庁はシンクタンクです。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノをつくったりということと違って、皆様は頭脳、知性の高い方です」
と発言したことが問題に。この発言に対しては、
「農業や畜産に携わる人々の知性が低いというのか」(1)
などとの抗議や批判が県庁に寄せられ、川勝氏は翌2日に謝罪し、6月議会での辞職を表明したが、発言を撤回しなかった。しかしその後も批判はなりやまず、5日に発言を撤回、8日には辞職を早める意向を示す。
2009年に知事に就くまでの川勝氏は、学者であった。専門は比較経済史。経済学と歴史学にまたがる領域だ。英オックスフォード大学で博士号を取得し、若くして頭角を現す。
早稲田大学の政治経済学部の教授や国際日本文化研究センター(日文研)副所長を務めた(2)。
目次
・訓示
・リニア問題は静岡県だけ?
・失言・暴言は川勝知事だけ?
・訓示
川勝知事の発言は、日本の社会に根ざした「訓示文化」についての議論も呼び起こした。そもそも問題発言は、新入職員に対する22分間の長い訓示の中で生じた。
「訓示」とは、広辞苑によると、「年齢や地位などの上の者が下位の者に対して心得を教え示すこと」とある。つまり、上位の人が下位の人に対して、心構えや知識を一方的に言い渡す「説教」に近い。
この「訓示」文化に対し、コミュニケーション戦略の専門家、岡本純子氏は、「非常に前時代的だ」(3)と切り捨てる。岡本氏はアメリカでコミュニケーションスキルを学び、現在は経営者にスピーチのコーチングを行っている。
岡本氏は、東京新聞の取材に対し、
「これからのリーダーは『教官型』より『共感型』が圧倒的に支持される。教えてやる姿勢ではなく、後ろから押し上げるサーバント(英語で執事などの意味)・リーダーが主流だ」
(4)
と説く 。
一方、民間企業の動きとしては、トヨタ自動車や三菱商事などが、権威主義的な印象を与える「訓示」を避け、「メッセージ」や「あいさつ」という言葉を使うように。
・リニア問題は静岡県だけ?
一方、リニア中央新幹線の静岡工区着工を認めなかった川勝知事の辞意表明を受け、リニア工事進展への期待感が広がる。しかしながら、大井川の流量減少や南アルプスの生態系への影響など、静岡県が懸念する課題は残されたまま。
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