━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』
~時代の本質を知る力を身につけよう~【Vol.47】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【今週号の目次】
1. 気になったニュースから
◆ 情けない裏金議員たちの醜態と自民党の崩壊
2. 今週のメインコラム
◆ 辻野、コロナに罹ったってよ
3. 読者の質問に答えます!
4. スタッフ“イギー”のつぶやき
─────────────
1. 気になったニュースから
─────────────
◆ 情けない裏金議員たちの醜態と自民党の崩壊
論語に、「其身正、不令而行、其身不正、雖令不従(其の身正しければ、令せざれども行わる。其の身正しからざれば、令すといえども従わず)」という言葉があります。「行いが正しければ、命令などしなくとも人々は従うものだが、逆に行いが正しくなければ、命令したとしても人々は従わないものである」という意味です。まさに、腐敗し切った今の自民党政治に対する多くの国民の感覚に近い言葉ではないでしょうか。
先週、自民党の裏金問題を巡る衆議院の政治倫理審査会(政倫審)の模様をテレビやユーチューブで見ました。大方の事前予想通り、真相究明に繋がるような新たな情報が出てくることは一切なく、本件を巡る与野党駆け引きの中で、単に来年度予算案の年度内成立とのバーターにされた通過儀礼に終わった印象です。野党側は、バーターにするのであれば、政倫審ではなくて、公開が原則で嘘をつけば偽証罪に問われる「証人喚問」に最初からこだわるべきでした。
頼まれてもいないのに突如出席を名乗り出た岸田首相を皮切りに、政倫審に臨んだ6名の自民党議員たちは、問題となっている派閥単位での組織ぐるみの政治資金規正法違反や脱税の嫌疑について、すでに検察の捜査で立件が見送られたことを盾に、形ばかりの謝罪と、「自分は何も知らなかった」「すべて秘書や会計責任者がやった」という白々しい弁明に終始しました。本人たちはうまくやったつもりかもしれませんが、見ている側からすれば、文字通り「衆目に醜態を晒した」光景以外の何物でもありませんでした。
そもそも政倫審とは、『政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関』と衆議院のホームページには記載されています。しかしながら、先日の政倫審では何の審査も勧告もされることはなく、岸田首相のパフォーマンスと裏金議員たちの自己弁護の場に使われただけでした。
そして翌3月2日には、異例の土曜日国会で来年度予算案の衆院通過が決行され、その後の参院審議の如何に関わらず来年度予算の年度内成立が確実となりました。これは参院送付後30日後に自然成立するという憲法の規定によります。この先、参院で野党側が参考人招致や証人喚問の要求を出したところで、もはや自民党が応じることはないでしょう。その点では、野党第一党の立憲民主党が、年度内の予算案通過の阻止に向けて徹底抗戦しなかったことには疑問が残ります。衆院本会議での予算通過後、立憲民主党の泉健太代表の満面の笑顔には違和感しかありませんでした。
岸田首相や裏金議員たちは、何度も「国民に対する説明責任を果たすことは重要」とか「然るべきタイミングで適切に対応する」などと言い続けてきましたが、これらの言葉がその場しのぎの心にもないことであったのは明らかです。衆院での政倫審の結果、誰の目にも疑惑は更に深まった印象で、直後のJNNの世論調査でも「説明責任を果たしていない」とした人が86%にのぼりました。それでも、--
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)