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『 田中優の未来レポート 』
第299号/2024.1.15
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
この度の能登半島地震の震災により被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復興をお祈り申し上げます。
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「地震対策の遅れにつながる原発推進政策」
今年の新年は地震とともに始まった。言うまでもなく能登半島地震だ(図1)。
図1 能登半島地震1月1日
ここに活断層がある可能性が高いことはよく知られていた。
しかし
「能登半島北岸の直線的な海岸線が、沿岸の海底にある活断層の活動によってできたものであることを知る研究者は多かったし、地震は当然想定されるべきだった。しかしそれができず、不意打ちの形になってしまった」
と。
鈴木康弘(名古屋大学教授で、日本活断層学会会長を務める鈴木康弘氏は地震を受けてそう述べている。
https://jsaf.info/jishin/items/docs/20240110081056.pdf
1月1日に起きた能登半島群発地震は甚大な被害をもたらしたが、それは想定されていた地震の大きさとは全くレベルの大きな地震であったためだ。その原因が活断層の位置と長さの想定が正しくなかったためだ。続けてその理由についての言い訳を同じく日本活断層学会会長の鈴木康弘氏から聞いてみよう。
「2007年の新潟県中越沖地震も海底活断層によるものだったが、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を巡る政府の審査では音波探査が過度に重視された結果、大幅な過小評価になっていた」
と。
「音波探査」では海岸沿いの海域の活断層を「活断層認定」するのが難しく、今回の能登半島北岸のように海岸近くにある活断層を音波探査で調べることは難しい上に判定できる新しい堆積物が薄いために見極めが難しいのだと。しかも想定される震度が高ければそれだけ建設費用が嵩んで電力会社の抵抗は大きくなる。電力会社の抵抗はあるだろうが、今なら、海底でも陸上と同じように地形から活断層を地下を掘削して調べることも可能だ。海域を探査船を出して音波を出して海底下の地質構造を調べるが、しかし能登半島北岸のように、海岸近くにある活断層を音波探査で調べることは難しい。
こうした問題を補うため、最近は、海底でも陸上と同じように地形から活断層を認定する技術が進んだ。能登半島では「後藤秀昭・広島大准教授ら」が調査し、北岸をほぼ東西に走る長大な海底活断層の存在を指摘していた。これが今回の地震を起こした断層とみられるが、いまだに音波探査による地質調査が重視されすぎているために、後藤氏らの結果は活断層図(図2)に反映されていない。それが能登半島に活断層が描かれておらず、地震が不意打ちした理由だ。
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