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第217号 梅雨前線異状あり?/骨折り損のくたびれ儲け/梅雨入/誕生、カニ人間!

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  • 2023/06/07
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「梅雨前線異状あり?」 今週は「季節の言葉」のコーナーでも取り上げていますが、今年の西日本の「梅雨入」は例年より10日近くも早く、昨年と比べると2週間以上も早まりました。その上、大型の台風2号の影響により、6月1日から3日にかけて各地で記録的な豪雨が続き、洪水や河川の氾濫による住宅の浸水や、土砂崩れなども発生しました。6月4日付の報道では、死者3人、行方不明者4人、建物被害は14府県771棟と発表されました。被害に遭われた方々に、お見舞いを申し上げます。 ‥‥という流れから、あたしがふと思い出したのが、「そう言えば今年は桜の開花も例年よりずいぶん早かったよな~」ということでした。確認してみたところ、次のニュースが見つかりました。 「東京でサクラが開花」 気象庁の担当者は3月14日、東京・千代田区の靖国神社で、東京の桜の開花の目安となっているソメイヨシノの標本木に11輪の花が咲いているのを確認し、「東京の開花」を宣言した。例年より10日ほど早く、1953年に統計を取り始めてから、2020年と2021年に並んで最も早い発表となった。また、ソメイヨシノとしては全国で最も早い発表となった。(2023年3月14日) ここであたしが「あれ?」と思ったのが、東京のソメイヨシノが「全国で最も早い発表」という点でした。桜の開花って、普通は南から順に北上して来て、これを「桜前線」と呼ぶわけですが、今年は、九州も四国の中国もぜんぶすっ飛ばして、東京からスタートしちゃったのです。そして、この「東京の開花」に遅れる形で、西日本でもポツポツと開花宣言が聞こえ始めたのです。 桜の蕾(つぼみ)は、2月から3月にかけての気温が高いほど早く成長し、そのぶん開花も早くなると言われていますが、今年のこの時期の平均気温は、東日本が統計開始以降で1位の高温、西日本も1位タイの高温でした。そして、今年の「東京の開花」は「1953年に統計を取り始めてから最も早い発表」と報じられたわけですが、そこには「2020年と2021年に並んで」という注釈がついていました。 これは、今年だけが特別なのではなく、ここ数年「東京の開花」が早まって来た、という意味であり、つまりは、ここ数年「2月から3月にかけての気温が高くなる」という状況が増えて来た、という意味なのです。そして、これは東京だけの問題ではありませんでした。気象庁の発表では、今年の桜の開花は全国的に例年より1〜2週間ほど早く、全国の観測地点53地点のうち27地点で、過去最早記録を更新したのです。 あたしは、これはどう考えても地球温暖化が原因だと見ています。それを裏づけているのが、東京より遅い九州の開花です。今年の「福岡の開花」は、「東京の開花」の4日後の3月18日でしたが、東日本も西日本も同じように2月から3月にかけての気温が高くなっているのです。そうであれば、「東京の開花」が早まったと同じだけ「福岡の開花」も早まり、東京より先に開花しないとおかしいでしょう。東日本だけ、2月から3月にかけての気温が高くなったのなら、開花時期の東西逆転が起こっても不思議ではありませんが、2月から3月にかけての気温上昇は西日本も同じなのです。 で、桜のことをいろいろと調べてみたら、驚くべきことが分かったのです。桜の花のもとは蕾ですが、その蕾のもとの花芽は夏場に作られます。そして、秋も深まると桜は葉を落とし、枝だけになった裸木(はだかぎ)の状態で冬を迎えます。この時、蕾のもとの花芽たちは、厳しい冬の寒さを乗り越えるために、動物で言うところの「冬眠」にあたる「休眠」に入ります。成長をストップさせた「休眠」の状態で厳しい冬を乗り越えた花芽たちは、春の到来とともに目を覚まし、一気に蕾へと成長して行きます。 この、冬場に「休眠」していた桜の花芽たちが、春の気温の上昇によって目を覚まし、開花の準備を始めることを「休眠打破(きゅうみんだは)」と言います。この「休眠打破」は、今年の東京のように2月から3月にかけての気温が例年より高くなると加速し、開花時期が早くなります。しかし、それだけでなく、「休眠」している間の冬場の気温の低さも重要だったのです。 11月から1月にかけて、しっかりと冷え込んだ冬が続くことで、桜の花芽たちは十分に「休眠」し、春の到来と気温の上昇で、一気に蕾を結んで行きます。言うなれば、冬場の「休眠」とは開花へ向けてのエネルギーを充電している期間であり、十分に「休眠」できた花芽たちこそが、「休眠打破」を加速させられるのです。 しかし、昨年11月から今年1月にかけての西日本では、12月だけは強い寒気の南下で例年並みに冷え込んだものの、11月と1月は例年より気温の高い日が多かったのです。特に九州では、この冬は温かい日が多かったため、花芽たちは十分に「休眠」することができなかったようです。そして、「休眠」という充電期間が足りなかったことで、「休眠打破」で大きくジャンプすることができなかったのです。 それでも、福岡だけでなく九州各地も西日本全般も開花時期は早まっていますが、東京を始めとした東日本のほうがさらに早まっているのは、今のところ、冬場までは地球温暖化の影響が出ておらず、しっかりと「休眠打破」ができているからだと思います。しかし、このまま地球温暖化が進めば、近い将来、東日本も冬場の冷え込みが不足するようになり、桜の花芽たちは寝不足になり、春の目覚めにも影響が出て来るかもしれません。花芽たちの睡眠まで妨害してしまう地球温暖化の前では、もはや「桜前線」など名ばかりのものとなってしまうでしょう。

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